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平成22年第2回定例会一般質問 中島義春議員

平成22年 6月22日登壇

「豊島区政の諸課題について」

 私は公明党豊島区議団を代表して、「豊島区政の諸課題について」、一般質問いたします。

明後日は、いよいよ参議院選挙が公示されますが、鳩山前首相は、政治とカネ、普天間問題を理由に、突然辞任し、菅政権を誕生させたものの、看板が代わっただけで問題は何も解決しておらず、選挙目当ての交代劇といわれております。政権を投げ出した理由は、政権運営の失敗ということに尽きますが、失政は数え上げたら切りがなく、マニフェスト違反はその最たるものです。公約は、政党が政治生命をかけて実現すべき国民との約束ですが、民主党はこれをことごとく裏切りました。37兆円しか税収がないのに、税収を大きく上回る44兆円という赤字国債を発行するという、財政運営ではご法度の禁じ手を使いました。高速道路は無料化できず、ガソリン税の暫定税率は実質存続、高校生の特定扶養控除も維持が縮減へと一転。子ども手当も全額国庫負担と言いながら、来年度2万6,000円も断念の方向です。また、天下りは全面禁止と言いながら、郵政の社長も副社長2人も元官僚、公務員改革も人件費2割削減すると言いながら、実際は2割増えています。公務員改革もできません。また、普天間問題の迷走で沖縄県民を裏切り、日米の信頼関係を損なったことはもちろん、成長戦略と財政再建の道筋を示せなかったことも失政であります。菅首相は、鳩山政権で副総理、財務大臣という重職にあり、鳩山、小沢に並ぶ3トップの立場にいた方であり、人並みの羞恥心と責任感があれば、一緒に辞任が当然とも言われております。その中で、予算委員会を開かないまま国会を閉じる暴挙に出ました。会期中に首相が交代したのに一問一答形式の予算委を開かなかったことは、この20年来一度もありません。政治とカネや普天間問題のほか、感染拡大が深刻な口蹄疫問題などについて、衆参両院の予算委員会で十分な質疑を通して、国民に対して判断材料を示すのが最低限の国会の責務であると私は思います。15日付のマスコミ各紙も「予算委見送りを撤回せよ」「判断材料もないのに参院選で審判を下せと有権者に迫っているに等しい」、菅政権は「ボロが出ないうちに参院選を迎えることをねらった党利党略」と政権の横暴ぶりを新聞各紙が訴えております。24日公示、いよいよ選挙戦です。公明党は、民主党政権の約9カ月にわたる失政の責任を徹底して追及していきます。国民、区民の皆様に理解と賛同を得てまいりたいと思います。

では、本題に入ります。初めに、新庁舎問題について質問いたします。去る4月27日の副都心委員会で、新庁舎を含む南池袋二丁目A地区市街地再開発事業の基本設計の概要説明が、世界的にも注目されている建築家の隈研吾氏、日本の環境デザインをリードする新進気鋭のランドスケープアーキテクトの平賀達也氏などからあり、21世紀の環境都市のシンボルとなる新庁舎の姿が示されました。我が会派の此島議員も、平成21年第2回定例会の一般質問の中で、環境問題を視野に入れた新庁舎の実現として、建物全体における環境配慮や、ビオトープの整備などについて提案いたしましたが、今回の新庁舎の環境デザインのエコヴェールやエコミューゼ計画にその趣旨が新庁舎建設のコンセプトとして打ち出されており、大変注目しているところであります。

改めて、この度の新庁舎整備について申し上げますと、平成17年5月以降、施設用地特別委員会などで検討経過の報告を受けて以来、既に5年の月日が流れました。この間、区では平成18年5月に、整備方針素案を公表し、平成20年9月には旧日出小地区を建設候補地とした整備方針、昨年11月の整備基本計画の策定など、新庁舎整備の実現に向けた具体的な検討が進められてきました。また、新庁舎を整備する南池袋二丁目A地区市街地再開発事業においても、昨年7月に再開発事業の都市計画が決定し、本年1月には再開発組合が設立され、現在事業計画の都知事認可の申請がなされているとのことであります。さらに、今月の6月15日の副都心委員会では再開発組合の事業コンサルから、権利変換や管理運営計画の概要の説明がなされました。いよいよ市街地再開発事業も大詰めの段階を迎え、事業計画認可後には事業の最大のポイントである権利変換計画手続きへと進んでいくと聞いています。この権利変換計画がおおよそ固まった段階で、区議会としても庁舎の位置を変更する条例を審議することになります。現在の位置条例は、昭和36年に制定され、今回、半世紀を経て条例改正の判断を下すこととなっています。このように、これまで区の方も時間をかけて庁舎の位置の問題や、事業手法について区議会、区民に説明し、段階を追って一歩一歩着実にこの問題を前進させてきていると思います。いよいよ基本設計も固まり、区民の関心も高まってきております。今まで新庁舎問題については、多くの一般質問が行われてきましたが、新庁舎建設が大詰めを迎えている今、改めて区民の皆様に一層の理解をいただく意味からも、再度確認の意味からも新庁舎について総括的に質問をさせていただきます。

まず、新庁舎の資金計画についてです。これまでの区の説明では、庁舎建設基金も底をつく中、将来負担を伴う借金をせずに新庁舎を実現するとしています。市街地再開発事業と区有財産の活用の組み合わせで、新庁舎整備を進める方法です。具体的には南池袋二丁目A地区市街地再開発事業で、日出小学校跡地等の資産活用で新庁舎の一部を確保するとともに、不足する床の取得資金に現在の区庁舎等の敷地の資産活用によって賄うというものです。これまでに示された資金計画が最終的にどのようになるのか、区民の皆さんも最も関心のあるところです。まず、日出小学校跡地等の資産が新庁舎の床にどの程度置き換わるのか、新庁舎として不足する床を取得する費用がどのぐらいになるのかについて、再開発組合からいつごろ、どのような方法で提示があるのかお答えください。一方、現庁舎地の資産活用試算額ですが、平成20年5月に提示された当時は、経済状況や不動産市況が比較的よかった時期の試算でした。しかし、その直後のサブプライムローン問題を端にした世界同時不況から現在に至るまで、市況は低迷が続いています。そのような状況が続いた場合に、実際に活用する3、4年後にはどのように対処するのかについてお答えください。

次に、分譲マンションとの合築の問題です。再開発建物は高層部が分譲住宅で、低層部が庁舎部分であり、一つの建物で使用形態の全く異なった施設が同居する形になります。区民が利用しやすい開かれた区庁舎を実現する一方で、個人情報を扱う役所としては十分なセキュリティが確保されていなければなりません。現在、基本設計を終え、実施設計へと進んでいる中で、セキュリティに関する具体策が固まってきていると思いますが、現在のお考えをお聞かせください。また、区分所有建物であるがゆえ、日常の維持管理や、大規模修繕等も問題です。私の周りでもマンション住まいの方が多く、管理規約の不備や修繕積立金の不足などの問題もあり、築年数の古いマンションでは、これらの問題の対応で苦労している方が多くいらっしゃいます。先日の副都心委員会で、専門家からの再開発建物の管理運営計画の概要説明がありましたが、改めてこれらの問題への対応について答弁をお願いしたいと思います。

次に、新庁舎整備の最大の目的であります区民サービスの向上について質問をいたします。新庁舎の基本設計概要にもあります、安全でわかりやすく、誰もが利用しやすい庁舎の実現、具体的には災害活動拠点機能の強化、窓口サービス向上の実現には、新庁舎の建物としての機能の向上が必要です。現在の庁舎では物理的な面等からできなかった改善への取り組みについて、それぞれの観点から具体的にお聞かせください。また、新庁舎に来なくても身近なところで受けることのできるサービスも拡充していくべきと考えています。昨年4月に庁舎サービス等検討区民ワークショップ提案にもありましたが、その検討状況についてもあわせてお聞かせください。

次に、これらの区民サービスの向上を図っていくためには、ITの活用が必要不可欠です。これについてもワークショップからの提案がありましたが、23区の中でも遅れていたIT化を一挙に進め、電子庁舎とすることにより、住民サービスの向上と効率的な事務が可能になると思います。これらに向けた現在の取り組みについて伺います。

次に、新庁舎整備の今後のスケジュールについて質問します。まず、現在、市街地再開発事業は事業計画認可申請の段階であると聞いていますが、今後、どのような流れで完成まで進んでいくのか、再開発事業との関係も含めお示しください。

最後に、今後の区民への周知方法についてお尋ねします。この度の新庁舎整備は、これまでに区内全域を対象とした区民説明会として、先程も話がありましたけれども、平成18年度、20年度の2回実施していますが、再開発事業や資産活用など、複雑な仕組みのためか、区民にとって多少理解が難しい面があったのではないかと思います。また、具体的な庁舎の中身について、まだ詳しく決まっていなかったこともあり、余り関心がなかったようにも私は思われます。今年度、庁舎の位置変更条例案を提案する前には、庁舎の中身もほぼ固まると聞いておりますので、関心も高まるものと思いますが、区民の皆様にどのようにわかりやすく説明ができるかが理解を得るためのポイントかと思っています。区民への周知方法を今後どのような方法で行うのかについてお答えください。区有財産を有効に活用して、新庁舎を整備する手法は、財政面からも都市部においてはこれからますます増えていく手法であると思います。本庁舎としては全国で本区が初めて手がけるということもあり、NHKの全国放送で2度も取り上げられるなど、全国の自治体が注目しています。何事も最初のチャレンジは、産みの苦しみは大変であり、ご苦労が多いことと思いますが、厳しい財政状況の中で老朽化の著しい庁舎等の現実を踏まえますと、将来的にみてもこの方法しかないのではないかと私どもは考えています。あらゆる困難を乗り越えて、豊島区が全国の手本となるよう、この計画を完遂させていただきたいと思います。

次に、がん対策についてお聞きします。私ども公明党豊島区議団では、平成21年の第2回定例会から連続して、此島議員、高橋議員、島村議員、そして私が豊島区のがん対策について一般質問を行ってまいりました。この間、豊島区においても、高野区長が平成21年の第3回定例会の招集あいさつで、がん対策を豊島区の最重要課題と位置付け、全力を傾注すると明言され、庁内に対策本部が設置されるとともに、本年4月には23区で初めてがん対策の専管組織であるがん対策担当課が設置され、区として総合的にがん対策を推進する体制が整ったものと認識いたしております。改めて言うまでもなく、がん予防は我が国の保健衛生分野における最も重要な課題の1つであり、平成19年に施行したがん対策基本法に基づき、都道府県レベルでがん対策計画が策定され、がん予防及び早期発見の推進、がん治療の均てん化の促進、がん研究の促進などの、様々な取り組みが進められております。しかしながら、こうした全国的な取り組みが徐々に功を奏しつつあるものの、一方では、性交渉の低年齢化による20代から30代の女性の子宮頸がん発症の急増や、食生活の欧米化に起因する大腸がん、乳がん、前立腺がんなどの増加も危惧されております。とりわけ、検診による早期発見、早期治療の効果が立証されている大腸がん、乳がん、子宮頸がん、胃がん、肺がんの5つのがん検診について、全国目標の検診受診率50%が掲げられてはいるものの、我が国においてはいまだ顕著な受診率の向上が達成されておりません。欧米諸国においては、国を挙げた組織的ながん検診の取り組みが行われており、70%から80%の高い検診受診率が達成されております。特に、欧米では子宮頸がんは若い母親の命を奪う病であることから、マザーキラーとして恐れられておりましたが、イギリスや北欧では、こうした組織的ながん検診の徹底により、既に乳がんや子宮頸がんの死亡率の顕著な減少に成功しております。また、このようながん検診率の上昇によって、がんの死亡率減少が実現するまでには、少なくとも5年から10年の歳月を要するものであります。我が国においても、一刻も早い組織的がん検診の完全実施が望まれるところであります。また、女性特有のがんである子宮頸がんについては、我が国においても昨年度既にワクチンが認可されており、このワクチン接種と検診受診により、ほぼ100%の予防が可能であります。豊島区においても早急に公費負担によるワクチン接種が不可欠であることは、島村議員、高橋議員、此島議員の一般質問においても再三述べてまいりました。子宮頸がんワクチンの公費負担を実施している自治体は、既に全国で30を超え、23区内でも杉並区、渋谷区、江戸川区が実施を公表しております。また、公明党は、国策として、子宮頸がんワクチン接種を実現するため、本年5月31日に党独自で子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案を参議院に提出いたしたところであり、公明党は不退転の決意で、公費負担によるワクチン接種の実現に取り組んでまいります。重ねて申し上げますが、子宮頸がんは、ワクチン接種などにより100%予防が可能な疾病であります。かけがえのない人命を救うため、本区においても一日も早い公費によるワクチン接種の実現を切望いたしております。

それでは、具体的に質問に入ってまいります。本年5月12日、医療の専門家の知見を生かした豊島区のがん対策を推進するため、都立駒込病院の鶴田副院長を会長とし、豊島区医師会長や都立病院並びに近隣の大学病院の医師も参加した、がん対策推進会議が発足し、がん予防の検討が開始されました。本年度内を目途にがん対策の条例制定や、がん対策の計画策定が予定されているとも伺っております。また今年度は先程述べたとおり、豊島区に新たにがん対策担当課も設置されました。そこで、改めて豊島区のがん対策の基本となる条例制定や、計画策定の考え方、そして具体的な課題認識など、本区のがん対策の基本的な考え方をお伺いいたします。

次に、豊島区のがん対策推進会議を含めた今後のがん対策の進め方について質問いたします。5月12日に開催された第1回のがん対策推進会議の資料を拝見いたしますと、6月中に5,000人規模の区民アンケート調査を実施し、アンケート調査と並行してがん対策の条例案や計画案を検討し、区民意向を反映した政策形成を図るとのことであります。また、具体的な政策検討として子宮頸がんワクチンの助成、受動喫煙の防止、区教育委員会のがん対策の3つの検討部会を設けるとのことであります。そこで、こうした検討部会の具体的な課題並びに検討の方向性、そして具体的な検討状況についてお伺いいたします。

次に、豊島区のがん検診の受診率について質問いたします。がん予防の基本対策は、言うまでもなくがん検診による早期発見、早期治療であります。しかしながら、我が国のがん検診の受診率は先程述べましたけれども、欧米各国と比較すると著しく低い状況が続いております。豊島区についてはさらに低く、平成20年度の5つのがん検診受診率の平均値の実績では、23区中で20位であったと伺っております。こうした不名誉な状況を改善するため、高野区長もがん対策を区政の最重要課題と位置付け、検診受診の勧奨や様々な啓発イベントの実施、そして公明党が推進した乳がん、子宮頸がんの無料検診クーポン配付などの取り組みが行われてまいりました。こうした取り組みの成果は上がっているのでしょうか。改めて本区のがん検診の受診状況をお伺いいたします。

がん対策の最後の質問は、子宮頸がんワクチン接種についてであります。豊島区のがん対策検討会議でも、公費による子宮頸がんワクチン接種について検討を行っているとのことですが、一刻も早い公費によるワクチン接種は急務であります。女性ボランティア団体のひまわりの会が、子宮頸がんワクチンの公費助成を求める署名を実施し、6月2日には同会代表を中心に6,300名の署名簿を高野区長にお届けしたところです。子宮頸がんによって毎年3,500人もの尊い女性の命が奪われております。23年度の予算編成を待つことなく、今年度中に補正予算を措置し、公費によるワクチン接種を開始すべきであります。区としての方針をお伺いいたします。

次に、子育て支援策について質問いたします。保育園に入りたいのには入れない、いわゆる待機児童の問題について伺います。昨年度に引き続き、待機児童の問題が新聞紙上の話題になっています。残念なことでありますが、この豊島区でも保育園に入れなかったという切実な声が地域の皆様から寄せられております。明るさが見えてきたとはいえ、長引く不況のせいか、区内のご家庭でも依然として保護者の就労意欲が高く、保育需要が増加しているようです。そこで、まず伺いますが、平成22年度の待機児童の状況と特徴はどうだったのでしょうか。また、平成21年度中にとった待機児童対策は効果を上げたのでしょうか。その点を率直にお聞かせください。ところで、保育園は、就労していて育児のできないご家庭に代わって子どもたちをお預かりする施設ですが、気がかりなこともあります。就労はしていないけれども、職を探しているご家庭もあります。そうしたご家庭の子どもは入園できるのでしょうか。保育園に入れなければ就職もままなりません。そのような子どもたちにとっても保育園の必要性は同じであると考えます。本区では、そのような場合、どのように取り扱っているのかお聞かせください。

次に、保育計画の実行の状況についてお聞きします。平成22年度保育計画では、認可保育園の改築・改修によって、定員を拡大したり、認可保育園や認証保育園を区内に誘致することで園児の受け入れ数を増やすこととしていますが、まず改築・改修の計画は順調に実施されているのでしょうか。現在の進捗状況をお聞かせください。長期休暇のない保育園では、園児の安全を守りながらの工事は大変であろうと思いますが、計画の着実な進行を望みます。また、認証保育園を計画期間中に4園ほど誘致することとしていますが、現在までの経過をお聞かせください。具体的な目標を掲げた計画であり、評価しておりますし、区民の皆様の期待もあります。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。一方、今後、数も増える認証保育園の利用に当たっては、保育料の負担についての不安もあるようです。各区の状況を調べて見ますと、認証保育園を利用する保護者への助成制度をとっているところもあるようです。園の数を増やすのであれば、そうした配慮についても考えていかなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。

次に、保育園での食物アレルギー児への対応についてお聞きします。以前からも症状を持った園児はいたことと思いますが、ここにきてアレルギー症状でお悩みの園児について、その実情に接することが多くなってまいりました。保育園では給食を実施しておりますので、小さな子どもたちの健康に危惧しているところであります。そこで、保育園での食物アレルギー児の状況についてお聞きします。まず、アレルギー児の実数について教えてください。また保育園の給食ではどのように対応しているか、お聞かせください。保育園では様々なアレルギーに対応できているのでしょうか。現状を聞かせください。園児の健康保持の問題として、また欠かせない危機管理の問題として、今後の課題も含めてお聞かせください。保護者の不安が少しでも解消されるような、積極的な対応を要望いたします。

次に、高齢者対策について質問いたします。私は過日、ある高齢者の生活相談を知人から依頼され、その知人と5月連休明けに高齢者宅に伺いました。玄関ドアをノックしても返事がなく、不審に思った知人が近くの大家さんから合い鍵をお借りし、その高齢者の玄関を開けましたら、奥の部屋で高齢者が倒れているのを私たちは発見しました。何度も声をかけましたが反応がないため救急車を呼びました。救急隊からは死後硬直があり既に亡くなっているとお聞きしました。67歳のひとり暮らしの男性です。連休中に家賃を支払うために大家さんが会っており、亡くなって間もないことがわかりました。もう少し早く伺えばこのようなことは防げたかもしれないと、残念に思っております。ご冥福をお祈り申し上げます。

豊島区は、高齢人口の割合は23区の中で7番目に多く、また単独世帯比率は23区の中でも比較的高くなっております。そのうち高齢者のひとり暮らしも多いものと思われます。60歳以上の内閣府の調査、高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査によりますと、誰にも看取られず亡くなった後に発見される孤独死について、60歳以上の高齢者の43%が身近な問題と感じていることがわかりました。世帯類型別では、ひとり暮らしの65%が身近と回答し、夫婦2人暮らしでも44%が身近だとしています。大都市に住んでいる人ほど孤独死を心配する傾向が強く、東京23区と政令指定都市に住む人で47%にも上っています。また、世田谷区は2007年、2008年に区内で高齢者の孤独死が相次いだことなどを受け、区内在住の65歳以上の高齢者全員を対象に、昨年7月、8月、区内の約15万人に調査用紙を郵送し、高齢者本人に回答してもらう形で7割近い10万3,684人から有効回答を得ております。この調査結果によりますと、孤立を感じる人は全体の13.8%に上ったことがわかり、友人や家族との交流がない社会的孤立状態にある人は2,734人、老老介護にある人も5%いるなど、高齢者が社会や若い世代からの支援を得られず、孤立している実態が浮き彫りになっております。本区においても今年度65歳以上を対象に調査を行っていますが、このような世田谷区の調査を他山の石とせず、大都市特有の特徴が出ており、本区でも大いに参考になると考えられます。そこでお聞きします。他区の調査をどのように捉え、本区の調査にどのように反映するかお伺いいたします。今後の豊島区の調査結果に基づいて、優先すべき政策が見えてくると思われますが、どのようにして区の政策に結びつけるか、今後の流れ等をお聞きします。

高齢者の見守りは各地で行われ、工夫されているなと感じる地域が多々あります。一部紹介させていただきますけれども、栃木県では、地域包括支援センターで民生委員、老人クラブなどの団体が地域ごとに連携し、見守りが必要な人の情報を共有して確実に訪問できる高齢者見守りネットワークづくりの手引を作成しております。この手引は、高齢者の身体状況や周囲の支援状況を点数化し、見守りの必要性の度合いを判断する見守り必要度基準を独自に設け、見守りが行われております。この見守り必要基準度は本人の状況、年齢や要介護度など、5項目にわたっており、周囲の支援の状況、家族関係とか近隣関係など4項目について項目ごとに3から2段階で点数化する仕組みとなっており、点数が高い順に「専門的な対応が必要」から、「地域の見守りで対応」まで4段階の必要度に分かれています。また、松江市では、ご近所見守りチェックリストを作成し、福祉推進員や民生・児童委員などに配り活用されています。このチェックリストには、「最近見かけなくなった」「新聞、郵便物がたまっている」「髪、ひげ、つめが伸びたまま」「最近、配偶者が亡くなった」など、SOSの兆候67項目をリストアップされており、各項目は「近所で見守る」「地域包括支援センターなどに相談」「市役所や警察などに通報」の3つに分類され、福祉推進員らがどう対応するのか、一目でわかるよう工夫されています。そこで、本区においての見守りの状況をお聞かせください。見守りも緩やかな見守りから積極的な見守りと、各団体の見守り方が違うことはわかっておりますけれども、例えばボランティアの方たちによる見守りが行われておりますが、そのチェックリストを拝見させてもらいますと、情報を共有するにはあまりにもほど遠いものと私は思います。どのように区ではお考えでしょうか。個人情報との兼ね合いもあると思いますが、しかし、孤立化の兆候を見逃さず、早く対応することが孤独死を防ぐ一番の手立てです。そのためにもチェックリスト等の作成が私は必要と考えますが、あわせて、見守っている方々にまたさらなる負担がかからないように、先進事例を参考にして作成すべきと考えますが、お考えをお聞きします。

以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

〔高野之夫区長登壇〕

 

 

○高野之夫区長 ただいまの中島義春議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。

まず、新庁舎建設についてのご質問のうち、日出小学校跡地等の資産の権利変換の内容と、新庁舎として不足する床取得費は、再開発組合からいつごろ、どのような方法で示されるかについてのお答えをいたします。現在、再開発組合では権利変換計画の作成に着手しており、6月20日の総会で従前資産評価基準などが承認され、その基準に基づきまして、関係権利者ごとに従前資産評価等を行ってまいります。今後、権利変換の概算が夏ごろに固まり、区に対しても権利として取得する面積と追加で取得する床価格の概算が提示される予定でございます。また、権利変換計画の合意形成を求める内容提示の時期は、事業計画認可公告後31日目の評価基準日から2、3週間後を予定しております。この内容は、概算として示された時期からわずかしか経過しておらず、変動する要因も少ないため、概算とほぼ同様の内容になると思われます。なお、権利変換の内容と追加で取得する床価格については、庁舎室内のフロア構成や総合窓口の基本的な考え方、資金計画、区分所有建物の考え方などを整理した、新庁舎整備推進計画案の中でお示しいたします。この計画は、庁舎の位置変更条例案の提案前に策定いたします。

次に、低迷が続く経済、不動産市況の中、現庁舎地の資産活用への対処についてのご質問にお答えいたします。現庁舎地の活用は、本庁舎と分庁舎、公会堂の敷地を民間活用し、50年の定期借地により貸し付けし、25年分の賃料相当額を一括で受け取る計画でございます。ご指摘のとおり、新庁舎整備方針をお示しした平成20年当初に比べ、その後の経済不況により地価は下落し、現在は横ばいの状況が続いております。実際に、現庁舎地の活用事業者を公募する時期は、新庁舎が完成する約1年前の平成25年を想定しておりまして、今から3年以上先でありますので、その時がどのような状況になっているかは確実に予想はできません。しかしながら、この度の活用手法は、経済状況等によって資産活用額の低下があったとしても、定期借地の地代の一括受け取り期間を変更することで対応するよう、当初から考えております。現庁舎地の活用資産額につきましては、将来予測は不可能でありますので、直近の数値等を使い、現時点での評価値として新庁舎整備推進計画案の中でお示ししたいと考えております。

次に、分譲マンションとの合築についてのご質問のうち、まず、セキュリティに関する具体策についてのご質問にお答えいたします。行政は、日常業務の中で様々な個人情報を保持しており、個人情報保護の観点からもセキュリティの確保は大変重要であると考えております。そこで、基本計画では、出入口やエレベーターなど、住宅部分と庁舎部分との動線を明確に分離いたしまして、駐車場や地下のごみ置き場なども住宅部分と庁舎部分とに分けてセキュリティに配慮した計画となっております。今後、実施設計の中でも詳細に検討し、職員ICカードを利用した入退管理も含め、セキュリティの確保に十分対応した建物となるよう整備してまいります。特に、夜間・休日におけるセキュリティ対策については、現庁舎に比べ数段のレベルアップが図られるものと考えております。

次に、維持管理や大規模修繕等についてのご質問にお答えいたします。今回の再開発事業による建物の管理規約は、都市再開発法に基づきまして、再開発組合、いわゆる区も含む従前の権利者の意思で住宅の分譲前に都知事の認可を得て管理規約を策定することができるため、想定される事例につきましては、事前に周到に検討した上で作成いたします。また、設計段階から修繕計画も検討し、5年目、10年目など、節目ごとの設備機器の更新も含めた30年程度の長期修繕計画を策定いたします。その計画を基に、管理区分に応じた十分な修繕積立金を用意し、計画的に大規模修繕等を実施してまいります。また、庁舎等が入る低中層部の共用部分の管理を行う業務管理組合と、住宅の共用部分の管理を行う住宅管理組合を別々に設置して、加えて駐車場や外構などの全体共用部分のみ管理する全体管理組合も別途設置する予定でございます。その中で、組合ごと、権利者ごとの責任区分、負担区分などを、パイプ一本に至るまで事前に区分けして、管理規約に明示してまいります。このような詳細の管理規約を、区も積極的に関与してつくってまいりますので、合築による維持管理上の課題には十分対応でき、大きな問題は発生しないと考えております。

次に、区民サービスの向上についてのご質問のうち、まず災害活動拠点機能の強化と、窓口サービスの向上についてのご質問にお答えいたします。まず災害活動拠点機能の強化についてでございますけれども、庁舎が災害対策の司令塔としての役割を果たすためには、高い耐震性能の確保や電気設備等のバックアップ機能の整備に加え、発災と同時に災害対策活動ができる機動性と様々な活動スペースの確保が必要となります。新庁舎では、中間免震構造と非常用電源装置や耐震性の高い給排水設備などを整備し、災害に強い庁舎を実現するとともに、防災課専用室、指令情報室、災害警戒待機室などで構成する災害対策センターを5階に設け、災害と同時に災害対策本部へ転用できる会議室を隣接配置する計画となっております。さらには、関係機関などの詰所を確保し、1階に設置する(仮称)区民ひろばセンターや屋外の地区広場を利用して、様々な災害対策活動を展開する計画となっております。

次に、窓口サービスの向上についてでございます。再開発建物の低層部分に広いフロアを確保し、新庁舎の3階には区民課業務などを中心とする区民の利用頻度の高い窓口の集約化を図り、できるだけワンストップで手続きが済む総合窓口の設置を考えております。現在、総合窓口で対応する業務を選別するため、個々の窓口業務の詳細な分析や実施の効果などの検討を行っております。年度内には業務範囲や届け出、証明交付などの窓口構成の概要を固め、総合窓口システムの検討を進めてまいります。また、4階には高齢者、障害者、児童福祉等に関連する各課を集約し、ワンフロアで用件が済む相談窓口体制を構築する計画となっております。このように新庁舎では、現在の庁舎で物理的な制約から実現できなかった様々な取り組みについて検討を行いまして、区民サービスを飛躍的に向上させてまいりたいと思います。

次に、身近なところで受けることのできるサービスの拡充についてのご質問にお答えいたします。先程申し上げましたように、新庁舎で転入や転出などの届け出の際に必要となる複数の手続きが1カ所で済む総合窓口の設置や、内部の事務処理を円滑に進める総合窓口システム等の導入を予定しております。現在、区民の皆さんが身近な地域で各種手続きが行える窓口として、東部・西部区民事務所がありますが、新庁舎を訪れなくても同様のサービスが受けられるよう、区民事務所業務の拡充を含めまして、より身近なところで受けることのできるサービスの拡充についても検討してまいりたいと考えております。

次に、ITの活用についてのご質問にお答えいたします。本区のITを活用した電子自治体への取り組みは、これまで庁舎の建て替え計画が定まらなかったことによりまして、ご指摘のとおり、周辺の自治体に大きく遅れをとっております。現在、行政情報化実施計画に基づき、税務、国民健康保険、住民記録システムなどの基幹システムの再構築を進めておりまして、汎用的な機能を備えたシステムを順次導入しております。また、新庁舎の完成を目標に、総合窓口システムや総合福祉システムを導入し、現庁舎での試行・検証作業などを経て、新庁舎において本格稼働を行いたいと考えております。

次に、新庁舎整備の今後のスケジュールについてのご質問にお答えいたします。現在、再開発組合では、事業計画の申請を行い、認可を待っている状況でございます。一方、区では、先程申し上げた新庁舎整備推進計画案の作成に取り組んでいます。これらがまとまると新庁舎の全体計画をお示しできる段階となりますので、区議会に対して庁舎の位置変更条例案を提案したいと考えております。提案する区議会定例会につきましては、現在手続き中であります。再開発事業計画の東京都知事認可の時期により判断したいと考えております。議会での位置変更条例の可決をいただいた後、組合への同意書の提出を行い、権利変換計画認可の手続きに入ります。これら手続き等が順調に進みますと、平成23年度着工、平成26年12月竣工となり、今から新庁舎の完成まで4年半程度かかる予定となります。

次に、区民の皆様への周知方法についてのご質問にお答えいたします。これまで新庁舎について、区民の皆様への周知は、平成18年と20年に区内全域での説明会の開催を初め、広報としま特集号の作成や、新庁舎Q&Aの定期掲載を含む広報紙の発行、さらには区ホームページ上の掲載や出前講座による出張説明など、数多くの説明の場と機会を確保してまいりました。しかしながら、ご指摘のとおり、これまでの新庁舎に関する説明内容では、区民の皆様にはなじみのない市街地再開発事業や定期借地権などの事業の仕組み等の説明が多く、また設計段階に至っていなかったために、新庁舎のイメージを示した説明ができなかったこともありまして、区民の皆様方に理解していただくには、十分な内容でなかったかと認識しております。今回の区民の皆様への説明の前までには、庁舎内部の配置、内容等がはっきりしてきて、より具体的な内容をお示しできますので、区民の皆様の関心も高まるものと思っております。また、説明方法も、区民の皆さんが新庁舎の内容を理解しやすくなるよう、工夫してまいりたいと考えております。具体的には、新庁舎の主要スペースまでのアプローチや建物内部の構成を、CGを使った動画を用意するなど、説明会等では可能な限り、プロジェクターを使って、区民の皆さんが見るだけでも簡単にご理解いただけるような方法を工夫したいと考えております。また、説明会で使用した動画映像をホームページからもご覧いただけるようにし、区民の方々への周知の機会を増やしていきたいと考えております。なお、新庁舎整備につきましては、これまで区議会におきましては、主に副都心委員会でご報告し、ご意見をちょうだいしてまいりました。今までに事業の進展に伴いまして、節目節目でその都度ご理解をいただいておりますが、平成21年5月の副都心委員会では、自民、民主・区民、公明の3会派から、それぞれ会派を代表してのこの度の新庁舎整備について、計画どおり推進すべきとの力強いご支援のご発言をいただいているものと理解しております。今後とも、区議会に対して丁寧な説明や報告を行い、新庁舎に対するさらなるご意見・ご要望をいただきながら、区議会とともに素晴らしい新庁舎建設を実現するよう、精一杯努力してまいる所存でございます。

次に、がん対策についてのご質問のうち、まず、がん対策の基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。

我が国の死因の第一位はがんであり、誰もが安心して暮らせるセーフコミュニティの取り組みを進める上でも、がん予防は必要不可欠な課題でございます。また、がんは決して不治の病ではなく、早期発見や、医療技術の進歩により、治癒率も年々上昇しており、禁煙などがんを予防する生活習慣の確立も大変重要な課題でございます。こうしたことから、本区のがん対策においては、次の3点が最も基本的な事項と考えております。まず1点目は、がんの早期発見、早期治療であり、そのための方策といたしましては、がん検診受診率の向上や、受診勧奨が最も重要ではないかと思います。2点目は、がん予防知識の普及啓発であり、またがんにならない生活習慣を理解することも大変重要でございます。3点目は、がん患者や家族への支援であり、適切な医療情報の提供とともに、地域医療や在宅医療による支援も欠かせないものと考えております。このような基本的方策を推進するがん対策の条例制定におきましては、がんの早期発見、早期治療を推進するため、区や区民等の責務の明確化が必要であります。また、受動喫煙による健康被害を防止するための方策や、患者や家族会の活動支援などについても、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。条例に連動するがん対策の計画策定におきましては、本区の実情を踏まえた総合的ながん対策計画とするため、がん検診受診率の達成目標や、がん検診の受診勧奨策などを明記するとともに、禁煙対策や区立小中学校におけるがん予防の普及啓発などについても、具体的な方策を明示することが重要であると考えております。いずれにいたしましても、多くの専門医師や区民の皆さんの代表が参加するがん対策推進会議の意向を十分に尊重し、最大限の努力を傾注して、本区のがん対策を推進してまいりたいと思います。

次に、検討部会の具体的な課題並びに検討の方向性、具体的な検討状況についてのご質問にお答えいたします。現在、区では、がん対策の主要課題である子宮頸がんワクチンの助成、受動喫煙の防止並びに区立小学校におけるがん予防対策について、それぞれの部会を設けて具体的な検討に着手いたしております。子宮頸がんワクチンの検討部会では、ワクチンの有効性や公費負担による接種を行うべきかどうか、そしてワクチン接種の対象年齢などについて検討いたしております。受動喫煙の防止部会では、区有施設の全面禁煙化を検討するため、全面禁煙の可否について、全庁的に調査を実施中であり、学校のがん予防対策部会では、小中学校の養護教諭も参加し、学校現場における具体的な活動内容の検討を行っております。3つの部会とも、既に6月中には第1回の検討部会を開催しており、7月中にはそれぞれの課題について、大筋の方向性が示されるものと考えております。

次に、がん検診の受診率についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、平成20年度のがん検診の平均受診率は残念ながら5.4%で、23区中では20位であり、大変憂慮すべき状況でございました。こうした状況を改善するため、未受診者に対する督促や、様々ながん検診受診の啓発イベントを実施した結果、21年度には8.5%に向上いたしております。また、21年度より国が実施した乳がん及び子宮頸がんの無料クーポンの配付が、がん検診の受診率向上に大きく寄与いたしております。21年度の検診では、乳がん受診者の37%、子宮頸がん受診者の34%が無料クーポンによる受診であり、この結果、21年度には乳がん、子宮頸がんともに10%を超える受診率となっております。また検診センターでも、21年度決算では1.5倍の受診者があったと報告を受けております。

次に、公費による子宮頸がんワクチンの接種についてのご質問にお答えいたします。子宮頸がんはワクチン接種によって予防が可能であることは、区といたしましても十分認識いたしているところでございます。公費による子宮頸がんワクチンの接種の可否については、現在、がん対策推進会議の部会で専門の医師も参加して検討が行われており、7月中には一定の方向性が示されるものと考えております。ご質問の公費によるワクチン接種につきましては、こうした専門家のご意見を十分に踏まえながら実施いたしますが、これまでがん対策につきましては、ご質問にあるように、此島議員、高橋議員、島村議員、そして今回は中島議員からご質問をいただいておりますので、しっかりと受け止め、実施時期につきましても、できるだけ早期の補正予算措置を含めて必要な対応を着実に推進してまいりたいと思います。

なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から答弁いたさせます。

〔山根 斎子ども家庭部長登壇〕

 

○子ども家庭部長(山根 斎) 待機児童についてのご質問のうち、まず、平成22年度の待機児童の状況と特徴についてのご質問にお答えいたします。平成21年度に122人だった待機児童数が、22年度は161人に増加いたしました。この22年度の待機児童の状況の特徴は、従来から待機児童が多かった東部地域に加え、北部地域や中央地域など、新たな地域での増加が目立ったことでございます。また今までなかった、3歳児・4歳児での待機児童が見られるようになったことも特徴でございます。こうした状況にあわせた効果的な対策を検討し、今後実施に努めてまいります。

次に、平成21年度の待機児童対策の効果についてのご質問にお答えいたします。平成21年度から22年度に向けた待機児解消のための対策として、定員数の拡大や入所の円滑化対策、いわゆる弾力化によって受け入れ数を61人拡大いたしました。さらに、22年度当初には44人の受け入れ枠の拡大を図り、合計105人の受け入れ枠の拡大をいたしたところでございます。このほかにも、保育ママ制度の拡充に努め、現在、地域の家庭福祉員が29人の児童をお預かりしております。また、欠員の状況にあわせて応募の機会を増やし、入園率の増加を図るなどの対策にも努めましたが、それを上回る入園希望があったため、待機児童の増加を見たところでございます。

次に、未就労家庭の子どもの入園についてのご質問にお答えいたします。子どもを預けることができなければ、安心して仕事を探すことができません。そこで、豊島区としては、求職活動を保育に欠ける事由の1つとして、入園の申し込みをすることができることにしております。ただし、求職中の入園は、原則として2カ月間としており、その上で、期間内に就職先が見つかれば、そのまま在園することができるとともに、在園中に失職した場合も、最長3カ月間、在園したままで求職活動をすることができるようにしております。

次に、保育計画の実行の状況についての質問のうち、まず、改築・改修計画の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。待機児童を解消するための5カ年計画である平成22年度豊島区保育計画では、目標の柱の1つとして、老朽化した保育園を改築・改修し、それにあわせて園児の受け入れ数を拡充することとしております。計画初年度である平成22年度には、まず池袋第一保育園の増築工事を行い、定員を10人ほど拡大する予定でございます。また、池袋第三、第五保育園の改修を進めるための仮設園舎を旧大明小学校の校庭に建設いたします。さらに、西巣鴨第二、第三、東池袋第一保育園それぞれの改築・改修を進めるため、現在の東部子ども家庭支援センター施設を仮設園舎に活用するための工事も実施いたします。それらの工事によって、改築では20人から30人程度、また改修では10人程度の定員増を見込んでおります。改築・改修の設計に当たっては、今後の保育需要の変化に柔軟に対応できるような内容にしてまいります。

次に、認証保育園の誘致についてのご質問にお答えいたします。保育計画の推進に当たっては、待機児解消に即応していくために、認証保育園の誘致を先行的に進めてまいります。計画期間中に定員30人規模の認証保育園4園程度を誘致することとしていますが、既に事業者と具体的な検討に入っております。

次に、認証保育園を利用する保護者への助成についてのご質問にお答えいたします。認証保育園に対する助成制度につきましては、現在、区の独自施策として、区内在住園児1人につき月1万円を区内で開園している事業者に助成しております。これは環境整備を支援し、また区内園児の入園を促進するためのインセンティブとして実施しております。ご指摘にあります認証保育園利用者の負担を軽減する措置につきましては、関連する様々な課題がございますので、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。

次に、保育園での食物アレルギー児の状況についてのご質問のうち、まず、アレルギー児の実数についてのご質問にお答えいたします。平成22年6月現在、区が直接給食を運営している区立保育園では、医師の診断がある食物アレルギー児は139人で、アレルギーに関する食品は、牛乳、卵から小麦、魚まで多岐にわたっております。

次に、給食でのアレルギーへの対応についてのご質問にお答えいたします。アレルギー対応の給食につきましては、当日の献立を勘案して、給食から該当食品を除いて提供する除去食及びアレルギー食品に替わる食材による代替食で対応し、ほかにお弁当を持参していただいているケースも少数ございます。

次に、今後の課題についてのご質問にお答えいたします。食物アレルギーへの対応は、ご指摘のとおり健康管理の問題であると同時に危機管理の課題でもございます。誤食の発生は、いわゆるアナフィラキシー症状を招き、重大事故にもつながりかねません。そこで、現在、保育園課所属の看護師、栄養士、調理師などが中心となって、今までの成果を検証し、区立保育園で統一的に対応できる新しいマニュアルの作成に取り組んでいるところでございます。

私からの答弁は以上でございます。

〔大門一幸保健福祉部長登壇〕

 

○保健福祉部長(大門一幸) 高齢者対策についてのご質問のうち、まず、他区の調査に対する見解及び本区の調査への反映についてのご質問にお答えいたします。ご案内の世田谷区の全高齢者実態把握調査におきましては、外出頻度や孤立感などの生活状況、地域での活動参加状況、見守り訪問の希望など、43項目にわたっての調査が行われました。その結果、とりわけひとり暮らし高齢者につきましては、健康状態がよくない割合、孤立感や将来への不安を感じる割合がいずれも高く、外出頻度や近所付き合いの少なさから、地域でのつながりが希薄な傾向にあるといったことが記されており、同じ特別区内の高齢者の生活実態の指標として、本区においても大変参考になるものと評価しております。本区の調査においては、健康状態、介護状況、会話や外出の頻度など14項目を調査することとしておりますが、区では、この調査を行った後、支援を要する高齢者につきましては高齢者総合相談センターの職員が再訪問いたしますので、その際には他区の調査結果等も視野に入れながら、様々な生活状況につきまして十分把握してまいりたいと考えております。

次に、調査結果の政策への反映についてのご質問にお答えいたします。今回の調査の主なねらいは、ひとり暮らし高齢者等の個々の実態を把握し、状況に応じて必要なサービスを適切に提供し、地域の中で孤立させないことにあります。区では、ご回答いただいた調査票の内容を精査し、孤立傾向にないか、見守りが必要か否かなどについて検討を加え、リスクの高い高齢者から順次支援を行ってまいります。また、支援につながった後にも、サービスが当該高齢者に適しているか、他の支援は必要ないか、見守り体制は十分に機能しているかなど、定期的に支援内容を確認し、継続した切れ目のない見守り活動を実施してまいります。さらに、調査時においては元気な高齢者に対しても、一定の期間を置いた後に訪問の上、生活状況を把握してまいります。区では、この調査を引き金に、必要なサービス提供と見守りのネットワークの体制強化を図るなど、効率的な施策展開につなげてまいります。

次に、本区における見守りの状況及び先進事例を参考にしたチェックリストの作成についてのご質問にお答えいたします。本区におきましては、現在、高密都市という特性を踏まえ、各区民ひろばを拠点に、民生・児童委員、町会関係者、ボランティア団体などが定期的に訪問を行ったり、電灯や洗濯物などの状況を確認するなど、見守りと支え合いネットワーク事業を実施しております。また、高齢者クラブによる独自の友愛訪問活動なども展開されております。これらに加え、配食サービスや緊急通報システムなどの福祉サービスによる直接的な見守りと郵便事業者、新聞配達店などが、日常の業態の中で緩やかな見守り活動も行っておりますが、個人情報保護を優先する考えから、対象者の事細かな情報を提供することができない状況にあり、情報の共有化にも一定の限界が生じております。さらに、活動主体によって見守りの視点や感度に微妙に温度差があることも事実でございます。ご指摘のとおり、他の自治体のチェックリスト等の先進事例は、これらの課題を解決する上で大いに参考になるものと考えておりますので、見守りマニュアルの作成など、効果的な見守り手法について鋭意検討を重ねてまいります。

以上をもちまして、中島義春議員のご質問に対する答弁を終わります。