発言通告にもとづき、一般質問させていただきます。今回は“魅力ある街”としま、めざしてと題し、①産業振興策について②子ども施策について2点にわたり質問いたします。

最初に産業振興策について伺います。

平成19年度の国の予算編成や税制改正におきまして、わが党は中小企業が経済や雇用に大きな影響を持つことを訴え、中小企業予算の拡充、留保金課税の撤廃、事業承継税制の拡充等を求めてきました。日本経済が東アジアとの結びつきを深める中、中小企業が培い、革新を続けているモノ作りの基盤技術が今後の日本の進路にとってはますます重要になるとの認識を国は示しています。

また、東京都では「東京都産業振興基本戦略」の策定に向けて「素案」を先日発表しました。これは10年後の東京が目指す都市像の実現を、産業振興の面から推進するための方向性を示すもので、科学技術・人材育成・東アジアの視点を踏まえイノベーションにより国際競争力を強化するとしています。

商工業、観光などの振興が、各自治体にとってもまちの活性化に不可欠であることは言を俟ちません。豊島区でも平成16年3月に「豊島区産業振興計画」を策定し、にぎわい魅力商工都市の形成、コミュニティ産業都市の形成、起業推進都市の形成、いきいき産業都市の形成を掲げています。それにしても、この時のデータを見ると暗澹たる気持ちになります。平成8年度から平成13年度の5年間で事業所が15%減少、従業員数も11%減少、その中でも製造業の工場数の減少はつるべ落としに近い状況です。

区の製造業は「出版、印刷、同関連産業」が全製造業の工場数、従業者数、出荷額で全体の5割を超え、区の中心的な位置を占めています。この印刷関連業は、価格競争の激化などによる受注量の減少、人材確保や後継者不足、技術改新に対する個別事業所での限界、事業用地の確保が困難であるとの課題が浮き彫りになっています。この課題をどう乗り越えるか、また、一方区内で元気のある業種、IT関連産業との協働等を探っていけないかということから、社団法人豊島産業協会に区が委託して「都市型新産業立地」についての検討もされております。平成18年2月には、この研究会の報告もなされ、構想の具体化に向けた提案もされています。

 

そこで伺います。「都市型新産業立地構想研究会」の報告に対する、その後の区の対応はどうなっているのかを教えていただきたいと思います。

 

都市型新産業立地については、区全体のまちづくりの中で産業をしっかり位置付け、行政が行なう基盤整備や人材の確保に対する支援が必要だと考えています。印刷関連業界の会合などに出席しますと「息子に会社を譲ろう、その際工場も建替えようと思っても既存不適格で工場ができない」、「都市の産業集積は何にも増して得がたい財産だが、ポツポツ仲間が廃業したり、移転したりしている。ものづくりは連鎖、次から次へと流れる工程が重要なのに、工程の断絶という厳しい状況だ」などと聞かされます。

平成19年度豊島区予算の中で、従来の商店街に対する施策に加えて、ものづくり産業への展開、区としてものづくりを大事にしていくのだという姿勢が見え、区の産業施策が新しいステージに入っているのを感じています。

例えば、「としま ものづくりメッセ」の開催、「事業継承支援事業の実施」、「保証料補助」の新設です。また、私が注目しているのは「ハローワークとの連携による雇用促進事業」です。新しい展開はまさに、中小企業のものづくりの原点を区民に見てもらい、都市の中での産業を一緒に支える大きな意味での協働を図ることに繋がると考えるのです。

そこに更に今までにない「雇用対策」を盛り込んだことは非常にタイムリーだと好感を持っております。何故なら失われた10年の影響によるニート、フリーターの問題は家庭の大きな桎梏となり、さらにはまちのコミュニティにも影響を落としているからです。

区内産業を元気づけ、そこに雇用を増やして貰う、そしてまちが活気づき、人の顔に笑顔が溢れるという構図になって欲しいと願うからです。

区財政が危機的状況を脱し、また、市場の経済活動が活発化している今こそ、今後10年の区をどう描くか、それに向けた具体策をどうするかという指標を設けるべきであります。その意味で区が現在策定中の「未来戦略プラン」には大きな期待と関心を持っています。

そこで2点目の質問です。その「未来戦略プラン」の取り組みの中で産業を大いに隆盛にし、この豊島区の“まち”の中で活かすことを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか?

産業振興が区の再生、まちづくりにとっていかに重要かという視点に立って述べてきました。考えてみると私が子供の頃には、工場という場所は、大きな興味と不思議を与えてくれる存在でした。音や匂いや職人さん達の振る舞いには、少なからず私の中の就労意識やものづくり対する憧れを育んでくれたことは疑いないところです。

まちの中の生産現場、ものづくりを子供達だけでなく、それを忘れかけている大人にも身近にし、商・工・住バランスのよい豊島区になることを願っています。

産業振興施策に関する都市型新産業立地構想研究会の報告に対する、その後の区の対応についてのご質問にお答えいたします。
研究会の報告につきましては、区の中核的な地場産業である印刷関連産業の振興に向けて、公有地を活用した印刷集約工場の整備や、今、元気のあるIT関連産業との新しい都市型産業の創出など、剖目すべき内容がたくさん含まれており、区として取り組まなければならない課題も多いものと考えております。
この報告を基に、豊島産業協会では独自に研発会を設置し、さらに研究を深められておりますが、区といたしましても、区内産業界の動きを踏まえながら、産業全体を底上げする施策を展開しようと考えているところでございます。
先日、港区の白金アエルシティを視察してまいりました。この施設は地域に根ざした工場や店舗と住宅の共存を図ることを目的にした再開発事業でございまして、都心部に工場を取り込んだ新たな試みが注目されている施設でございます。超高層の住宅棟、ショッピングモール、オフィスビルと並んで工場街区があり、町工場の技、経験は地域の財産であるとの考え方が滲み出たものでございます。
都市の中では工場が減少し、ものをつくるという産業本来の現場が区民の目から遠くなってきております。また、ものづくり産業がまちづくりのパートナーとして意識されづらい状況になっております。まず、この状況を変えていくことが、研究会報告の構想を検討する上での土台になるのではないかと考えております。
したがいまして、平成19年度予算案の中で、としまものづくりメッセの実施を提案いたしまして、区民のものづくりへの、またそれを担う産業への理解を広げてもらうことから始めてみたいと考えております。
公有地の活用による印刷集約工場構想やIT産業との協働については、今後も調査、研究を重ねながら、区全体の産業振興という視点に立って検討を図ってまいりたいと考えております。
次に、プランの中で産業の隆盛を図り、産業をまちの中で生かすべきとの提案についてお答えいたします。
現在、未来戦略推進プラン2007は案という形でお示ししておりますが、文化、健康、都市再生、環境の4つのキーワードのうち、商工振興は都市再生の中でも重要な位直を占めるものと考えております。商工振興は、単にその業種業界を活気付けるためだけではなく、雇用や教育とも相まって人々の意識に好影響を与えております。商工業が人々の生活の一部として溶け込んでいくことが、これからのまちづくりにつながっていくものと考えております。
ご指摘のように、商工住が程よく融合し、バランスのとれた街、区民の身近なところで経済が回り、それに派生するように文化的な土壌も育まれる、という環境を求めて、プランにも表しているところでございます。
次に子ども施策についてお伺いいたします。まず、中学生、高校生世代への施策について伺います。私ども公明区議団は先日、友好都市である山形県遊佐町の「遊佐町少年町長・少年議員公選事業」を視察して参りました。遊佐町は人口約1万7千人、美しい鳥海山や南北の砂丘、中央部には月光川を含む山あり海あり川ありの208平方キロメートルの広大な面積の町です。産業は米を中心に鮭のそ上によるふ化事業等が盛んです。

少年町長・少年議員公選事業は、平成15年から開始され今年度で4期目を経過しました。担当する総務企画課企画係りの方の説明によりますと、平成18年度のタイトルを「若者の力で、遊佐の未来をつくろう」、スローガンを「自分達の力で自分達が本当に求める遊佐のまちをつくろう」として、若者たちが、自らの代表を直接選び、政策を実現していくことで、学校外で民主主義を実際に体験学習することにより、社会の構成システムを学ぶ。また、中高生等の未来を担う若者の視点から、町政への提言や意見を町が積極的に採り上げることを通じて、若者の町政参加を促す。としています。同事業の構成対象者は、遊佐町在住の中高校生、及び遊佐町に通う高校生で、誰でもが被選挙権をもつものとし、構成員は、少年町長1名、少年議員10名を立候補して、投票により信任されたもので議会を構成するものです。今年度の有権者は約1,200名で、投票率は毎年80%を越えるとの事です。事業期間は毎年4月~12月として、平成18年度の少年議会の政策予算は45万円で、町への提言に伴う予算は所轄課で予算計上するとしています。

これまでの同事業の実績としては、平成15年にはソメイヨシノ植樹、音楽イベント「遊佐ROCK」開催。少年議会の要望で通学路のカーブミラー設置、通学路への防犯灯12基設置。平成16年度は、空き店舗に「喫茶CAFE la おーたむ」開店。平成17年度は役場前ベンチ及び雨よけ設置。少年議会の要望により、ふるさとCM大賞への参加。平成18年度にはあいさつ運動実施。昔遊び・郷土料理教室実施、若者が選ぶ町民花選考・決定。少年議会の要望によりバス停のベンチ設置実現などの実績があります。

小野寺町長さんからは、数年前、お隣の酒田市との合併、住民投票の話題がでたとき、高校生や中学生も投票させるかどうかの議論をしたときに、その時だけ2者択一の選択をさせるだけでいいのか?普段から町として若者の意見集約をする必要に駆られたとのことでした。そして、同事業のポントとして、①やる気のある生徒にまず、立候補をしてもらう事。②中高生の有権者に投票してもらうと共に町への要望を聞く事。③現実的に予算を与えて任す事。少年議会予算で足りないものは町の予算で実施する事。④少年議会の年度末要望事項を、議会と同様に重く受け止め、町の政策に生かして行く事。と熱く話されていました。そして、子ども側も当初は「大人は所詮俺達の言うことなんか聞いてくれない。」と思っていたのが、予算をつけることによって「耳を傾けてくれるんだ」と言うことになり、大人側も当初は「生意気な中高生になにができるんだと」多寡をくくっていたが、少年議会を通じて、そのまじめな姿勢と本気で分かろうとする姿勢に”しっかりやる”。”頼りになる”という意識に変わり、子どもと大人の信頼関係が大いに増し、役場も成長し、子どもたちも大いに成長することができた。そうです。また、成人式の式典には初代をはじめ歴代の少年町長や、少年議員が先頭にたって企画運営にあたり、毎回若者が主人公の感動の成人式がおこなわれているとのことです。

遊佐町の少年町長・少年議員公募要項には「常に、歴史は若者によって創られてきました。地域の青年たちはいつでも地域を変革していく「力」を蓄えています。青年たちが自分たちの住むまちを自分達の協働の「力」で変革しはじめるとき、時代が拓かれ地域の民主主義が再生します。そして、地域の中で若者たちが生活者として認識され、若者たちの居場所と出番が地域の中に見えてきます。」としており、更に、「大きな社会変化、仕組みの変化が進み『分権社会』が到来し、自分達の行き方を自分達が決めていく社会システムを構築していくことが求められ、遊佐町の新しい地域づくりを行わなければならない。」としています。

これからの区政運営には、若い世代へ目をむけていく必要が大いにあると考えます。本区が昨年の第1回定例会で可決した”子ども権利条例”第9条には「子どもは、自分の願いや気持ちを、意見として、家庭、学校、地域、行政等の場で伝えること」が保障されており、更に「子どもの意見は、大人の意見とおなじように価値あるものとして尊重されること」と記されています。過去に開催された子ども議会では、素晴らしい意見や面白いアイデアも飛び出し、参加した生徒さんには生涯のいい思い出となったことと思います。しかし、参加しなかった多くの生徒さんには「子ども議会」が行われたことも知らないでいるのではと思わざるを得ません。どちらかというと各学校の代表選手が先生から選ばれて本会議場で発言する言わばセレモニーのような感が否めないと思うのは私1人ではないと思います。しかし、その「子ども議会」すら、現在は行われず、私ども公明党区議団一同は非常に残念な気持ちで一杯であり、心の底から憂いております。

遊佐町は人口約1万7千人で町内の小学校数は6校、中学校は1校だけしかなく、人口約25万人の本区とは比較にならない規模とは言え、『子どもを本気で信頼し、本気で育てよう!』とする精神は、絶対必要であり、これからの次代に欠くべからざる要件であると考えます。

そこで質問します、例えば、モデル的に豊島区の区立中学校区を1つの単位にして、遊佐町の少年町長、少年議員公選事業のような、取り組みを実施すべきと考えますが区長のお考えを伺います。また、本区における若者の意見集約と若者の区政参加について、どう考え、どう取り組んでいかれるのか伺います。
今回の木下広議員の、「”魅力ある街”としま、目指して」として、大変大きなテーマ2点に絞ってのご質問であります。そのうちの1点、子ども施策について私からお答えいたします。
初めの、我が豊島区との友好都市である山形県遊佐町の視察を通じての提言、特に小野寺町長さんは私も大変親しくさせていただいておりますので、心のこもった歓迎とご親切なご指導があったのではないかと思います。そして、幼児教育を含めた子どもたちに対してのご質問にお答えをしていきたいと思います。
まず、子ども施策について、中学校区を単位とした少年町長、少年議員公選事業のような取組みの実施についてのご質問にお答えいたします。子どもは次代の地域社会を担う人材であり、心身の健全な発達や知識の修得を促すだけではなく、少しづつ社会の仕組みを修得する機会を提供していくことも大切なとであると考えております。また、これからの区政運営に当たっては、必要に応じて子どもの意見を反映させていくことも重要な視点であると認識をしております。
そうした観点から、山形県佐町の少年町長や少年議員の公選事業は、1つの試みとして、大変詳しく丁寧なご報告、ご説明をいただきました。興味深く拝聴をしたわけでございます。
本区においても1つの中学校区でモデル的に実施してはどうかというご提案でございますが、遊佐町と本区とは、人口規模、中高生の生活環境や意識などを背景に大きく異なることから、実施に移していくには課題も多々ありますが、子ども区議会を実施する前提で、その方途を検討をしてまいりたいと思っております。
実施に当たりましては、直近では平成16年度に実施いたしました子ども区議会のように、イベント的な単発の事業で終らせない仕組みが肝要と考えております。
次に、若者の意見集約と区政参加への取組みについてのご質問にお答えいたします。
子どもの意見集約、意見表明の機会といたしましては、平成13年3月に青少年の社会参画方策について提言された、第22期豊島区青少年問題協議会の答申に基づき、これまで一定のテーマのもとに、子ども青少年会議や、ワークショップ、高校生公開ディベートなどを実施をしており、一定の成果を得てきているところでございます。本年度も中高生センターの開設に当たり、その名称や運営内容などの意見を中高生居場所会議として、8月に3回、11月に1回開催をして、意見集約をしてまいりました。その成果の1つとして、区内東西2カ所に計画し、4月に東部地区に開設する中高生センターの施設名称として、ジャンプという名称を決定したところでございます。
また、この中高生センターには、利用する中高生を構成メンバーとする利用者協議会の設置を計画をしておりますが、この利用者協議会を施設の運営内容や事業内容のみにとどまらず、中高生に関する施策などへの意見を集約する場にすることも1つの方法と考えております。
いずれにいたしましても、子ども区議会を含め、子どもたちの意見を継続的に集約でき、区の施策にも反映できるようなしくみづくりを遊佐町の事業も参考にしながら、私を中心として、子どもを本気で信頼し、本気で育てようという精神を関係部局が一体となって積極的に検討してまいりたいと考えております。
次に、組織の枠を超えた子ども施策の構築についてのご質問にお答えいたします。
子ども施策の総合的な推進を図るため平成17年3月に策定をいたしました子どもプランは、まさに本区の子ども施策を集大成した計画でございまして、9部局28課が推進する202の事業を掲げております。この計画の進捗を担保し、確実に推進していくために、子ども家庭部長を委員長として、子ども施策関係課長20人で組織しております子どもの施策調整会議を適宜開催し、組織の枠に捉われることなく、課題や情報を共有しつつ、施策の連携調整を図ってきているところでございます。
また、子どもの施策、青少年施策に関係する団体や有識者で構成する青少年問題協議会の場を活用して、計画や子ども施策全般について忌慣のないご意見、ご提案を賜っているところでございます。また、担当組織につきましては、子ども施策の窓口を集約化する観点から、本年4月には、私立幼稚園関連事務につきまして、総務課から子育て支援課に移管いたします。今後とも、関係部局が一体となって計画した子ども施策を総合的にに推進していきますとともに、子どもを取り巻く環境の急速な変化に対応できるよう計画や組織を柔軟に見直していくことも必要であると認識しております。
次に、組織再編についてのご質問にお答えいたします。
まず、これまでの取組みについて、どのような点が不十分と考えたかについてのご質問にお答えいたします。子ども施策を進めるには、子どもの健全な育成、つまり、子どもの発達成長に関わる幅広い取組みとの連携が不可欠でございます。特に、私立幼稚園を含めた学校や保育園、地域社会、そして何より、保護者の方々と協働して政策効果を上げるための機能アップが求められでおります。しかし、現在大きな社会問題となっておりますいじめや虐待の防止など、自治体が取り組まなければならない新しい役割への政策立案、さらに、幼保一元化など、子どもの発達・成長に関わる総合的な対応への組織化がいまだ道半ばでありまして、これまで以上の工夫が必要であると考えております。
次に、特に小さい子ども達に対する施策についてお尋ねします。

まず初めに、同施策を推進する組織と態勢について質問します。

あらためて申し上げるまでもなく、少子化や核家族化の進行とともに、子育てをめぐる問題はますます多様化し、深刻化の度合を深めています。児童虐待やいじめの問題など、耳をふさぎたくなるニュースが連日のように報じられています。今や、子どもに関する施策は、親の就労状況や所得にかかわらず、子どもとその保護者・家庭の24時間の生活すべてに及ぶと言っても過言ではありません。そのため、施策の内容や関係する機関も、たいへん広範囲にわたっております。子どもを産みやすく、そして育てやすい環境を整備し、子どもさんが健やかに育つ条件を整えるためには、関係機関が緊密な連携を図りつつ、また、地域も一体となって取り組むことが必要であります。

そこでお尋ねいたします。組織の枠を超えて子ども施策を総合的かつ効率的に構築し、展開するために、区はこれまでどのような取り組みを行ってこられたのか伺います。また、どのような点が不十分と考えて、今回の組織再編に臨んだのか、組織再編によってどのような効果が期待できるか伺います。さらに、組織再編後の取り組みについて、現時点で何か新しい構想があればお聞かせください。

次に、組織再編の効果についてお答えいたします。
新しい課題に組織的に対応するには、財源と人材が不可欠であり、そのための行政改革と人材育成が必要であります。これまで保育園規模の適正化や児童館の非常勤職員化など、執行体制の見直しによる効率化を図る一方で、子育て支援センターの開設と虐待防止対策としてのワーカーの配置、子どもスキップを初めとする放課後対策事業の拡充など、必要な予算と組織を投入してまいりました。
また、教育委員会についても、指導主事の増設、さらには、いじめ対策を視野に入れた専門職の配置など、組織の強化をしております。その上で今回は、総務課の私学関連事務を子ども家庭部及び文化商工部へ移行するなど、関係部署との連携しやすい組織の改正を行ったわけでございまして、組織編成の成果をどう見るかは難しい一面を持っておりますが、本区のスキップ事業は全国的にも先進的な取組みとして紹介をされており、子ども施策調整会議などの横断的組織の導入が生んだ成果であると考えております。特に、教育委員会と区長部局との連携・協力体制を構築したことが大きな要因であると分析をしております。
次に、今後の取組みについてお答えいたします。
子どもに対する施策の推進は、福祉施策と教育施策のさらなる連携を目指し、引き続き部局を超えた取組みが求められております。近いところでは、この3月にも、新たに認定子ども園に関わる検討のためのプロジェクトチームを設置いたします。将来的には、地域社会全体で子どもの育成が図れるよう、地域区民ひろばや地域文化創造館などの交流の輪から、地域教育力の向上や開かれた学校づくりの施策として、呼応しあうような効果を出していきたいと考えております。これはいわば、教育共同体を自指す取組みと言えるものでありますが、育成委員会やPTA、さらには町会、その他の公共的団体との運携を進める、広い意味での組織づくりに他なりません。今後とも地域を挙げて子ども政策を実現していくため、政策の総合化とパートナーシップ構築の両面から取り組む専門職員の育成を図りつつ、縦割りではなく、横割りの組織を導入するなど、柔軟な組織による機能向上に努めてまいります。
子ども施策に関する2点目、幼児教育の内、特に「認定こども園」について伺います。

「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な推進に関する法律」いわゆる「認定こども園法」が昨年の10月に施行され、東京都では12月の都議会において、認定基準を定める条例が制定されました。その後、区市町村や私立幼稚園に対する東京都の説明会も開かれていると聞いています。

そこでお尋ねいたします。就学前の教育と保育を一体として捉え、一貫して提供する新たな枠組みである「認定こども園」について、区の基本的な見解をお聞かせください。

また、本区においては行政需要としてどのように受けとめているのでしょうか。保育行政の観点から、また、幼児教育の観点から、それぞれお聞かせください。

現在、本区の幼児教育は、その大部分を私立幼稚園が担っています。「認定こども園」について検討を進めるにあたっては、私立幼稚園の意向を十分に尊重することが不可欠であります。そこでお尋ねしますが、区内の私立幼稚園がこの制度をどのように受け止めているか、把握しているのでしょうか。もし把握しているようであれば、私立幼稚園の意向をふまえて、区として今後どのように対応していくお考えなのか、お聞かせください。

次に、認定こども園についての基本的な見解と行政需要についてのご質問にお答えいたします。
認定こども園が有する、就学前の子どもに幼児教育、保育を提供する機能や、地域における子育て支援を行う機能につきましては、区としてもその意義を認めるところでございます。認定こども園の行政需要についてでございますけれども、保育行政の観点からは、既存の幼稚園施設を利用することで、保育園の待機児の解消に資することが期待をされます。
本区におきましては、待機児が乳児に集中しておりますので、認定こども園において、乳児保育を行えば待機児を減らすことができるわけでございます。また、幼児教育の観点からは、認定こども園の幼児に適切な環境を与え、その心身の発達の助長に資するものとして理解をしております。改正教育基本法でも、幼児期の教育の項目が新たに設けられましたように、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものと考えております。
次に、区内の私立幼稚園の意向と区の今後の対応についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、認定こども園についての検討を進めるに当たって、私立幼椎園と十分な意見交換や協議を行い、その意向を最大限に尊重する必要があります。これまで、関係課長と私立幼稚園連合会との非公式な意見交換を数回にわたって行っておりますが、私立幼稚園からは、何よりも、子どもの視点を最優先に考えるべきである、区立幼稚園で先行して政り組むのではなく、私立でできることがあれば、まず私立から先に導入すべきであるといったご意見をいただいております。また、昨年の暮れに東京都が行った意向調査では、導入の意思があると回答した本区の私立幼稚園は、まだ少数にとどまっております。しかしながら、私立幼稚園連合会からは、区との意見交換、協議については、積極的に行っていきたいとの申し出もいただいておりますので、先程ご答弁申し上げた、子ども施策に係る組織再編の後の新たな体制の下においては、私立幼稚園との連携をより深めて、幼児教育について総合的な取組みを検討してまいりたいと思っております。
また、個々の園から認定こども園制度導入のご相談があれば、積極的に対応するとともに、公共施設の再構築や区有財産の有効活用について検討を進める中で、認定こども園制度を活用する可能性が出てきた場合には、早い段階で私立幼稚園連合会に提案をしてまいりたいと思っております。

以上で私の質問全部を終わります。ご清聴ありがとうございました。