平成18年第1回定例会公明党木下広一般質問

私は、公明党区議団を代表して、「暮らしてみたい街“としま”めざして」と題し、①平成19年度予算編成について、②池袋地域の都市再生について、③区の情報施策の拡充について、④高齢社会の対応について、⑤その他。の5点について質問させていただきます。

まず、大きな1項目目、平成19年度予算編成について伺います。平成17年度決算について区長は、「形式収支、実質収支とも黒字となり、実質単年度収支も、23億4千6百万円であると、わが国経済の回復基調の追い風を受けつつ、行財政改革の効果により、堅実な財政運営に向かっていることが明確に現れた決算であると受け止めている。」と述べています。

高野区長が健全な区財政の建て直しを最重要課題に取り組まれてこられたことは、私どもも大いに評価しているところではありますが、その時の状況を的確に捉え、判断し、行財政改革に取り組まなければなりません。そうこで、平成18年度決算の見込みと、本区の財政状況、現在の社会・経済状況をどのように認識されておられるのか伺います。そして、そのご認識のもと現在取り組まれている平成19年度の予算編成の基本的な姿勢は、どういう特徴があるのか伺います。

私ども公明党は9月末、区財政の回復基調はもとより区民の大いなるご協力の賜物とし、スクラップ・アンドビルドのしわよせで、苦しい思いをせざるを得なくなった区民、特に子育て世代、高齢者の方々の信頼回復として、様々な福祉施策の提言を行いました。平成19年度予算編成作業が佳境を迎える上で、このような福祉施策についてどう取り組んでいかれるのか、区長のお考えを伺います。区長が目指すさらなる財政健全化に向けては、なによりも区民の御理解を戴かなくてはならない事はこの8年間で区長も充分実感されている事と存じます。区民との信頼関係を一層強めて行く為にも、特に子育て世代、高齢者福祉の充実には力を入れて戴きたいと強く要望するものであります。

区長答弁

ただいまの、木下 広議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

まず、平成19年度予算編成に関するご質問にお答えします。

平成18年度の決算見込みと現在の財政状況に対する認識についてですが、現時点における我が国の景気動向は、企業部門の好調さが家計部門に波及し、今後も国内民間需要に支えられた景気回復が持続すると見込まれております。

このような景気動向の影響を受けまして、本区における今後の財政収支見通しでは、特別区民税や都区財政調整交付金などの基幹的な歳入が、徐々に上向いていくものと推計しております。

平成18年度の決算見込みの詳細な推計はこれからではありますが、現時点の見通しでは、インフルエンザの蔓延や災害の発生といった、緊急の事態が生じない限り、今後見込まれる補正予算の需要を加味しても、安定しつつある歳入環境に支えられまして、今年度の実質収支は、引き続き黒字となるものと見込んでおります。

次に、平成19年度予算編成に取り組む基本的な姿勢につきまして、お答えいたします。

現在、進めております来年度の予算編成は、安定的で持続可能な財政運営の確立を目指した、財政健全化への取組みは今後も堅持しつつ、これまでのような歳出を抑制するための改革から、未来への展望を切り拓く改革へ踏み出す大きな布石となるような予算と位置づけてまいりたいと考えております。

これまで痛みを伴う改革に耐えてこられた区民の皆さまに、今後もこの豊島区に住みつづけるうえで夢と希望を持っていただけるために、景気回復による歳入の改善を追い風としまして、施策の重点化を図る一方で、区民生活に直結した新規拡充事業にも積極的に対応したいと考えておりまして、そのため、来年度の予算規模は8年ぶりにプラスとなることが確実な見通しとなっております。

次に、福祉施策への取組みでございますが、これまでの行財政改革による事務事業の見直しで福祉施策に少なからず 歪 ひず みが生じ、区民の皆さまの切実な要望として、これらの是正が強く求められていることは重く受け止めております。

また、今後も伸展する少子高齢化への対応として、子育て支援の充実、介護予防や要介護高齢者への支援策などの一層の強化が必要であることも十分、認識しているところであります。

したがいまして、来年度予算では、限りある財源の範囲内ではありますが、これらの福祉施策に重点的に予算を配分し、強いご要望のありました、紙おむつ助成事業の拡充、介護予防の充実をはじめ、後ほど詳しくご説明申し上げますが、子どもの医療費助成の拡大などに取り組みまして、少しでも豊島区に住みつづける喜びを実感できるような福祉施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

 

続いて、大きな2点目、池袋の都市再生にむけた取り組みについて伺います。

懸案であった、地下鉄13号線がいよいよ平成20年6月に開業することが決定し、大変喜ばしいことでありますが、一方で、この第2山手線といわれる地下鉄の開業により、西武池袋線、東武東上線も相互乗り入れすることから、埼玉方面から池袋、新宿、渋谷方面が直結し、この3副都心の都市間競争がますます激化することを心配しなければなりません。

特に、池袋はこれまで西武線、東上線のターミナル駅として、JRへの多くの乗り換え客によって、街の活性化が図られていた部分も大きいと考えています。今後、池袋の魅力を大いに高めて、地下鉄13号線に乗って池袋を通過する通勤客の方たちも、池袋に降り立っていただけるような状況を作っていかなければということは再三の区長さんも発言されている通り、私どもも危惧するところです。

現在の池袋を見ますと、駅の両側に西武と東武の両デパートがそびえ、東にはサンシャインシティー、西には東京都芸術劇場がありますが、それ以外には大規模な集客施設がなく、中小の老朽化、雑居化したビルが多くを占めています。街の声でも、新宿、渋谷と比べると、我が池袋が、今後の都市間競争に勝てる状況なのかどうかを心配する声が多々あります。

区では、今後の街づくりの推進方策として、東池袋四丁目の第1地区、第2地区の再開発の推進や、新庁舎建設にあわせた周辺地域の活性化策に取り組んでいることは充分承知していますが、多くの関係者が考えているように、副都心全体の活性化を本格的に図るためには、やはり、民間の活力を積極的に引き出すことが最重要であると考えます。

区長は、先の第3回定例会の一般質問の答弁の中で、池袋副都心の活性化策の1つとして、国の都市再生緊急整備地域の指定について触れていましたが、民間活力を引き出す手法として国が考え出したこの制度について、もう少し詳しく質問したいと考えています。

新宿、渋谷がこの地域の指定を受けていることは承知しておりますが、東京都内の指定状況はどのようになっているのか、また、この指定は、国の都市再生本部が行なうということですが、その指定のための条件はどのようなものなのか、まずお聞きします。

次に、この地域が指定されたことにより、民間事業者はどのような支援策を得られるのでしょうか。これまで実際に、その支援策を受けた事例を含め、お伺いします。

また、この地域の指定により、池袋副都心の再生に対してどのような効果が具体的に期待できると考えられているのか、区長の見解をお聞かせください。

最後に、先に述べましたように、13号線の開業をまじかに控え、池袋の再生は待ったなしの局面を迎えています。民間の開発意欲、開発需要を積極的に捉え、適宜、適切にこのような制度を導入し、民間活力を支援することにより池袋の再生を強力に推し進めることをお願いしてこの質問を終わります。

区長答弁

次に、池袋の都市再生に向けた取り組みについて、のご質問にお答え申しあげます。

まず、東京都内における、都市再生緊急整備地域の指定状況と、指定条件についてのご質問に、お答えいたします。

現在まで都内では、ご案内の新宿駅、渋谷駅周辺の他、東京駅・有楽町駅周辺、秋葉原・神田など、合計8地域が指定を受けております。

このうち、渋谷を除く7地域については、都市の魅力と国際競争力の強化などの視点から、国・都の主導により、平成14年の第一次に指定されました。一方、渋谷は、地下鉄13号線の開業や、東急東横線の地下化など、大規模な駅改造とあわせ、駅周辺の民間開発の機運を受け、渋谷区の強い要望により、平成17年に指定を受けたものであります。

また、指定条件については、国の基準として、次の考え方が示されております。第一に、都市計画・金融等の施策の集中的な実施が想定される地域。第二に、早期の実施が見込まれる都市開発事業等を含む地域。第三に、都市全体への波及効果により、適確な土地利用の転換が見込まれる地域などです。

また、都の基準として、次の考え方も示されております。

複数のプロジェクトが、面的に繋がることや、公共施設の整備と民間の開発意欲が組み合わされることにより、都市再生の効果が期待される地域であることです。

次に、地域指定により、民間事業者が受けられる支援策について、お答えいたします。

支援策は、大きく二つあります。ひとつは、民間都市再生事業計画の認定であります。この認定を受けることにより、税制上の特例の他、民間都市開発推進機構による、無利子貸付制度や事業立ち上げに対する金融支援を、受けることが可能となります。

現在まで、12事業が認定を受けており、今年3月竣工して大きな話題となった、秋葉原のユーデックスビルや、赤坂のTBSプロジェクト、同じく赤坂の防衛庁跡地開発などがあります。

二つ目は、都市再生特別地区の指定であります。従来の開発制度とは別に、地域の整備目標に照らし、公共的な貢献度が高い計画について、既存の制限を緩和・変更した、新たな都市計画を決定するものであります。

現在まで、都内6地区で指定を受けており、新宿駅西口の旧朝日生命跡地に建設中のモード学園新校舎や、明電舎跡地を含む大崎駅周辺の開発などがあります。

次に、指定により、池袋副都心再生に対して期待できる効果、についてのご質問に、お答えいたします。

まず、各種の支援策の適用により、民間開発の事業推進が図られます。この結果として、池袋副都心で懸案となっている、狭小敷地の統合や、老朽ビルの建替えの促進が期待できます。

また、広場の提供、文化施設の導入など、質の高い開発を誘導することにより、品格と魅力あふれる街づくりの促進が期待できます。

さらに、駅周辺の開発を適切に誘導することにより、地下から地上への、スムーズでバリアフリーな動線の確保や施設改造が期待できます。これに加えて、永年にわたる地元要望である東西自由通路の実現など、乗換えの利便性の高い、人に優しい駅と駅周辺の整備が、推進できるものと考えております。

このように、緊急整備地域の指定は、池袋副都心の活性化を後押しする有効な手段であると考えられます。従いまして、他地区にも大きく遅れをとっている現状を踏まえ、今後、複数の開発計画が具体的に動き出した好機を捉え、指定に向けた取り組みを、全力で行っていかなければならないと、考えております。

 

続いて、大きな3点目、区の情報施策の一層の充実について伺います。今回は、アクセシビリティの更なる確保という点と、豊島区に於ける庁内IT基盤作りの2点に絞り質問します。

インターネットと携帯電話の普及に代表される情報通信技術=ICTの発展とともに、公共分野においても、ICTを活用して提供される公共サービスが充実しつつある中で、一方それらのサービスを利用できない場合の不利益も深刻となっており、障害者や高齢者を含めたあらゆる人々がそれらのサービスを利用できることすなわち、アクセシビリティの確保が重要な課題となっています。本来、アクセシビリティの確保は、HP情報提供サービスだけでなく、公共サービス全般に求められる課題であり、ウエブ・アクセシビリティの取り組みがそのまま、自治体の公共サービスのアクセシビリティを表しているといっても過言ではありません。

平成14年6月にHPに関する、日本工業規格であるJISX8341-3が制定されてから早、2年が過ぎました。このJIS規格は「ウエブ・アクセシビリティ」について定めたもので、中央省庁や自治体はHPの製作運営にあたってはこの規格の尊重義務があることはご案内の通りであります。本区でも広報課を中心に「ウエブ・アクセシビリティ」について、既に様々な努力をされておられることは、日々刻々と変わる、豊島区HPを拝見すると良く理解できるところであります。しかしながら、先進自治体である、神奈川県藤沢市、熊本県などと比べると、各部署からの情報を広報課が吸い上げるというかたちを脱し得ず、区民が知りたい時に必要としている絶対的な情報量が不足している観が否めません。すなわち、情報を提供する大元の各部、各課のICT活用・アクセシビリティに関する共通認識がまだまだ足りないのではないかと思われます。

今後のウエブ・アクセシビリティの確保を考えると、以前から再三申し上げておりますとおり、広報課だけで考えるのではなく、各部、各課の責任のもとで取り組んでいく必要があると考えます。それには、各部局をまたいだプロジェクトチームを立ち上げ、時代にあった体制作りを行うことが必要と考えます。本区の今後のウエブ・アクセシビリティ確保に関して、どのように取り組んでいかれるのか、プロジェクトチーム発足に向けたお考えを伺います。

次に、庁内のIT情報基盤構築について伺います。本区では、今年3月「豊島区行政情報化実施計画」として平成18年から平成22年度までの5ヵ年に亘っての実施計画を建てられ、外部人材の任用などアウトソーシングを活用した時代にあった方向着けも盛り込まれました事は、以前から私が主張してきた本区の情報化の実施計画がやっとなったかという感があり、他自治体とくらべ、立ち遅れている本区のIT化推進状況を考えますと、その計画実現に大いに期待しているところでございます。

このような情報通信技術・ICTを活用した公共分野のIT化を進めるには、なによりも、セキュリテーや認証、文書のIT化に関する知識等、基本的なIT知識習得と職員相互情報交流がかかせません。実施計画の中には、将来的にメインフレームのオープンシステム化を目指すなど、この数年でドラマテックな展開が予算化も含めて計画されています。いつも言われることですが、ハードがどれだけ先行し整っても、使う側の職員の能力が無ければ宝の持ち腐れになってしまうことは今更いうまでもありません。

現在、情報管理課が中心になって各部、各課のIT“キーパーソン”作りを行い、それぞれの現場でIT化推進の牽引者を作る作業を進められていることには充分評価をしているところですが、私は、この情報化実施計画実施と新庁舎におけるIT化を考えた場合、情報化を進めるには、“キーパーソン”作りとともに、例えば“キーパーソン”によるプロジェクトチームを作り、計画的に一つの現場をモデル的に、集中的に進めていくことによって、他部署の模範としていくことなど、何らかの豊島区独自の特色を持って進めていくことが必要ではないかと考えます。豊島区行政情報化実施計画における全庁的な取り組みについての区長のお考えを伺います。又、更に、現在検討されている新庁舎のIT化について、どのように考えておられるのか伺います。

理事者答弁

区の情報施策の一層の充実についてお答えいたします。

誰もが容易にインターネットで情報を取り出せるウェブ・アクセシビリティ確保に関する取組についてでありますが、IT時代の到来により、公共分野におけるアクセシビリティの確保が非常に重要な課題となっていることは、ご指摘のとおりです。

本区におきましても、平成16年6月にウェブ・アクセシビリティのJIS規格が制定された後、それまでの作成基準をJIS規格に準拠した「豊島区ホームページ運用基準」「豊島区公式ホームページ作成基準」に全面改訂し、アクセシビリティに配慮したホームページ運営を心がけてまいりました。

しかし、配慮すべきことが非常に広範であることから、100パーセント完全に対応することは非常に困難な状況であります。そこで、今年度は各課でホームページを担当する職員を対象にアクセシビリティに関する研修を実施するなど、職員の意識改革に向けた取組みを始めたところでございます。

一方、アクセシビリティを含め、ITを活用した情報提供のあり方については、まさに全庁的に検討をしていく必要がございます。したがいまして、ご提案にありますプロジェクトチームを各部庶務担当課長をメンバーとする広報会議のもとに立ち上げ、より一層のアクセシビリティの確保を図ってまいります。

 

次に、豊島区行政情報化実施計画における全庁的な取り組みについてお答えいたします。

ご指摘のとおり、ITは情報を利用するための大変便利な道具ですが、この便利な道具も職員が使いこなせなければ十分な効果を得ることができません。

現在、助役を本部長とし、各部部長からなる行政情報化推進本部を中心に、情報化を進めるために必要な人材育成について、検討を進めているところでございます。

この検討において、職員全体の情報活用能力向上のために、庁内LANが利用できる研修環境を構築し、実際にシステムを利用した研修を行うこと、及び牽引役となる各課のキーパーソン等の、より一層の能力向上のため、専門知識を持つ外部人材からの技術習得等を予定しております。

また、文書システム等の新規システムの導入及び既存システムの再構築にあたりましては、ご質問にありますような、キーパーソンを含むワーキンググループを編成することで、今後の情報化推進の雛形を作り、進めていくことを考えております。

一方、新庁舎のIT化につきましては、今年7月に内閣府IT戦略本部の策定した「重点計画-2006」に「世界一便利で効率的な電子行政」の実現に向け、将来の技術及び電子サービスの動向を見据え、紙文書削減による省スペース化、ネットワークによる知識の集積など、最大の効果を発揮できるように、進める考え方が示されております。

こうしたことから、新庁舎のIT化においては、ITの効果的な利用及びシステム導入に関する調査等の実施も含め、積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。私からの答弁は以上でございます。

 

続いて、大きな4点目、高齢社会の対応について伺います。豊島区は5人に1人が65歳以上の高齢者であり、そのうちの3割が一人暮らしの方々であり、東京23区の中でも非常に高い割合となっております。

かつては、高齢者ができないことは、同居家族がおこなっていました。現在では、同居家族も少なく、高いところの電球の取り替えや、重い家具の移動などは、高齢者一人では困難な状況です。

千代田区では、平成16年7月から、高齢者等の生活上の困りごとの相談を24時間365日年中無休で応じる「困りごと24=高齢者等困りごと支援事業」を開始しました。この事業は、高齢者や障害者を対象として、日常生活で困っていることなどを、区民等の協力を得て解決のお手伝いをします。高齢者や障害者の不安を解消し、地域で安心して自立した生活を支援することを目的としています。事業実施主体は千代田区社会福祉協議会で、対象は概ね75歳以上のひとり暮らしの高齢者や高齢者だけの世帯と障害者のみの世帯となっています。事業内容は専門技術を必要とせず、1時間位でできて、継続性のないものとし、具体的な例として電球等の交換・ブレーカー落ちの復旧・ネジのゆるみ・蛇口パッキンの交換、代筆・代読・ボタン付け等の簡単な繕い・30kg以下の家具の移動・風邪などで体調を崩したときの近所への買い物で、専門的技術を必要とする場合や原則として1時間以上かかる活動や継続的にサービスを必要とする内容については、区内の専門事業者や関係団体=ふたばサービス、シルバー人材センター等を紹介します。 利用料は1回 200円で、他に部品等購入が必要なときは自己負担が生じる事になります。そして私が感心したのは、活動協力員の募集を広く区民に呼びかけ、この事業に賛同し、協力できる区民等を各町会に1名をめざして取り組んでいることです。現在では千代田区内、109町会あるところ110名の活動協力員を確保されたそうです。

この事業の特徴としては、(1) 高齢者等の生活を配慮し、24時間365日相談を受け付ける。(2) 地域住民のマンパワーによる事業展開と地域コミュニティの活性化を図り、(3) 本事業以外の日常生活上の困りごとに対しても、きちっと関係機関・業者に繋げていき、(4) さまざまなサービスとのネットワーク化を図ることにより、高齢者等が地域で安心して生活できるシステムを構築していきます、としています。

担当の方に取材したところ、電話番号は区社会福祉協議会の代表を使い、夜間はコールセンターで相談を受付けるところから、「何か困ったことがあれば、この番号に電話すれば大丈夫」という安心の体制をとっています。平成17年に相談を受けた件数は160件で、実際にサービスを利用された方は94件です。例えば夜間等時間外に電話がある場合、体調不良の方が多くおられ、こちらが「それでは、救急車を呼んだほうがいいですよ」と言ってあげると、相手は安心して救急車を呼ぶなど、とにかく安心感をもっていただくことが最大のポイントであると伺いました。今後は、協力員の更なる充実を目指しておられるとのことでした。

このようなサービスは、お隣の新宿区でも、「ちょっと困りごと援助サービス」として立ち上げております。新宿区の取り組みはサービス項目を数点に限定して、無料で行っています。

いずれにしても、高齢世帯が多い本区でもぜひ高齢者に安心感を与える困りごと支援サービスを積極的に取り組む必要があると思いますが、区長のお考えを伺います。

次に高齢者等の総合相談窓口体制作りについて伺います。私が、高齢者の方などから、様々な区民相談を受けますと、医療や介護保険制度へのちょっとした、疑問、質問や、介護予防に関する情報等、ちょっと調べれば、簡単に分かる場合がよくあります。もちろんその場で担当の部署を教えてあげたり、変わりに問い合わせを致しますが、最後に「今後は、地域包括センターで聞けば教えてくれますよ。」と言うと、「そんな所があれば友人にも教えてあげるわ」という言葉が帰ってきます。    現在、本区としては、高齢者の医療・介護等の相談窓口として地域包括支援センターがありますが、高齢者への認識度は低く総合相談窓口としての機能は充分発揮されていないような気がします。今後、一層増えていく高齢者の方々が、気軽に分かりやすく、相談できる総合相談窓口への取り組みを強く要望したいと思いますが、区長のお考えを伺います。

理事者答弁

高齢社会の対応についてのご質問にお答えいたます。

まず、高齢者に安心感を与える困りごと支援サービスについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のように、本区は、高齢化率が19.8%に達し、75歳以上の高齢者が高齢者人口の半数近くを占め、さらに一人暮らし高齢者世帯の割合も3割を超えるなど、23区の中でも特に高齢化が進んでおり、このため、様々な影響が地域社会に及んでいます。

なかでも、地域で孤立しがちな一人暮らし高齢者については、増加しつづけており、生活支援のための対策が強く求められています。

現在、本区では、専門性や継続性が必要となる高齢者の生活ニーズに対しては、社会福祉協議会やNPO法人などにより、リボンサービスをはじめとする住民参加型の福祉サービスが提供されています。

しかしながら、ご提案で示されたような高齢者の日常生活における、さまざまな「困りごと」から生じる簡易なニーズに対するサービスの提供は、決して十分とは 言えない状況であります。

区としても、一人暮らし高齢者の生活を支援していく上で、地域のボランテイアによる支え合い活動により、きめ細かで安心感を与えられるサービスを提供できる 体制を構築することが重要であることは、十分認識しております。

したがいまして、具体的なご提案を踏まえまして、  多様化する高齢者の生活ニーズに応えられる方策について、先行自治体の例や、本区の今後の高齢者ニーズや  区民の福祉活動などを踏まえながら、今後、十二分に  検討してまいります。

この検討にあたりましては、区民の支え合いによる サービス提供や介護予防を推進する観点から、協力するボランティアの確保や、サービス利用により高齢者の 生活活動能力の低下を招かないような対象者の設定などの諸課題に十分留意しながら進めてまいります。

また、検討とともに、住民参加型福祉サービスを提供している社会福祉協議会などの非営利法人に対して、 高齢者のニーズにこれまで以上に応えられるように、 サービスの一層の創意工夫、改善を求めて働きかけを 行ってまいります。

今後、高齢社会が進む中で、高齢者が身近な地域で  安心して暮らすことができるよう、多様な福祉サービスの提供に向けて、鋭意、取り組んでまいりたいと存じます。

次に、高齢者等の総合相談窓口体制作りについてのご質問にお答えいたします。

地域包括支援センターは、高齢者の医療、介護等の相談窓口として本年4月に開設されました。相談の内容は、医療、介護以外にも国保、年金、区民税、さらには生活保護に至るまで幅広く、様々な相談が寄せられ、その都度関係組織に繋げるなど、総合相談の役割も果たしております。しかしながら、開設してから未だ日が浅く、ご指摘のように地域の方々になじみ、身近な存在になっているとは言えない状況でございます。

区といたしましては、地域包括支援センターが高齢者の身近な事柄を気軽に相談できる窓口となるよう、広報等を通じていま一層の周知を図り、地域の相談窓口として育てて参りたいと考えております。

 

 

最後に、その他として、冒頭に申し上げました平成19年度予算に向けた様々な福祉施策の提言の中で、第一番目に要望いたしました、子ども医療費の拡充について伺います。

東京都では、都議会第3回定例会で子どもの医療費助成制度の大幅な拡充が議論され、都側も来年度にむけて制度改正に取り組んでいるようです。東京都がこども医療費の財源負担を何らかの形で、拡大をするようになれば、中学3年生までの医療費の無料化は、いよいよ、環境が整ってきたと言う感じが致します。そこで、中学生まで無料化を実施した場合の財源負担額はどれくらいになるのか、必要見込み額を伺います。冒頭に述べました、私ども公明区議団の福祉施策拡充の申し入れで要望しましたように、医療費の無料化を中学生まで拡充することは、本区の少子化対策の最重要課題であると考えます。今まで区長提案の予算案に賛成してきた、責任ある与党として区長の決断を強く要望いたします。中学生までの医療費拡充についての区長の御決意をお聞かせ下さい。以上で私の質問全部を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。

区長答弁

中学生までの医療費拡充についてのご質問にお答えいたします。

子育て世代の経済的な負担軽減を図ることは、少子化対策の重要施策の一つであると私も強く認識しております。

したがいまして、子どもの医療費の無料化拡充につきましては、平成19年4月から、小学校6年生までの通院医療費の自己負担分を、すでに助成している入院医療費に加えて助成することとし、10月からは、さらに区単独で中学3年生まで拡充する考えでおりました。

ご案内のように、東京都は、先般、平成19年10月から、中学3年生までの通院及び入院医療費の自己負担分、3割の内の1割の2分の1、すなわち5%分を補助すると発表いたしましたので、その結果、10月からの都案を本区に当てはめますと、都の補助額は約1千3百万円、平年度ベースでは約4千90万円ほど増加することとなり、区にとりましては、財政負担が若干ではありますが軽減されることとなります。

また、中学3年生までの医療費助成の拡充後の事業費は平成19年度で約6億3千3百万円、平成20年度以降の平年度ベースで約7億2千9百万円でございまして、小学6年生までの事業費と比較いたしますと、19年度で約2千9百80万円、20年度以降は約8千9百60万円の増となります。

まだまだ厳しい財政状況でありますが福祉施策拡充とともに医療費の無料化を中学生まで拡充することは、本区の少子化対策の最重要課題であると受けとめ、決断をいたした次第であります。