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H21年12月2日登壇

“豊かな心で安心して暮らせる豊島”を目指して

私は公明党区議団を代表して、“豊かな心で安心して暮らせる豊島”を目指してと題し、1.高齢者支援について、2.教育施策について、3.その他として、地域における社会的活動の支援について質問させていただきます。

我が公明党は「介護」をテーマとする全国総点検運動を設置し10月より取り組んでおります。総点検運動は、生活現場から政策を積み上げるための調査・点検活動であり、国民の皆様の要望に応えるための運動であります。「調査なくして発言なし」、これは我が党結党以来の鉄則です。現場第一主義の原点は、この調査・総点検にあるといっても過言ではありません。「知恵は現場にあり」、公明党は生活の最前線の課題を吸い上げ、生活者のための政治を実現してまいります。

 

団塊の世代が高齢期を迎える2015年には、世界がいまだ経験したことのない超高齢社会に突入します。2025年には3人に1人が65歳以上という時代を迎え、介護ニーズはさらに高まります。私も介護現場で働く方や認知症高齢者を介護する家族の方との懇談を重ねており、介護保険制度の運用や介護人材の確保、処遇改善、在宅介護現場における問題点など、様々なご意見を聞かせていただいております。

介護保険はこれからこそ必要な制度であり、実態とニーズを検証しつつ改革して育てていくことが必要であります。介護現場の現状と課題を踏まえ、今後の高齢者支援について提案・要望を含めて質問させていただきます。

 

①【高齢者介護について】

初めに地域保健福祉計画にあります基本理念の達成を目指す上で、地域密着型サービスの「理想」として、より具体的な「まち」の将来像に向けた高齢者介護における本区のビジョンはどうあるべきか、本格的な高齢社会に対応した介護のあり方について、高野区長のお考えを伺います。

計画策定趣旨には、「今後の福祉施策を推進する上で、すでに表面化している地域の多様な生活課題は、行政で対応できる範囲をはるかに超え、区民や活動団体、民間事業者も含めた相互の役割分担を明確にし、何よりもサービスを必要とする人の立場にたった視点のもと、地域福祉が推進されることが重要になっている」と述べられております。今後の福祉施策が行政で対応できる範囲を超えるのであれば、真に困っている人へ、行政になり変ってサービスを提供する支援者へ、また団体等各種グループなどに十分な支援策を講じていただきたいと思います。

一方、介護保険制度は家族が介護することを前提に制度設計されています。従って一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯、また認知症の介護が支えられていないという大きな課題があります。

高齢者の夫婦世帯や、特に本区では単身世帯が増加している現状にあり、その多くは「いつまでも住み慣れたまちで生活したい」という願いをもっています。そのためには地域の介護力をどのように発掘すべきか、大きなテーマであります。本区での取り組みについて伺いたいと存じます。

 

②【介護予防について伺います】

高齢者が一人として漏れることなく、安心と安全に満たされた老後を送れる社会に向け、「不安」を払拭するだけでなく、元気に人生を楽しむ生活を実現するということが求められています。そのためにも介護予防を強力に推進して健康寿命を延ばすことは、住み慣れたまちで生きがいを持って生活し続けることにつながります。

本区ではこれまで運動機能向上に着目した一般高齢者向け介護予防事業を展開されてきましたが、一方低栄養改善プログラムは特定高齢者を対象としているため、今後はこれら栄養面での介護予防施策では、一般高齢者にも対象を拡大したものに期待したいと考えます。食は何よりの薬、健康を左右する最も大きな要因であります。栄養面・運動機能の向上により、閉じこもりを防ぎ、いつまでも健康長寿の人生を送っていただきたいものであります。

その中でも独居男性の方から「栄養バランスを考えた食事を自分で作れない」という声がよくあります。そこで特に中高年齢男性を対象にした料理教室の検討を要望します。介護予防は自分自身の力、すなわち予防力を高めていくことが必要です。男性の健康問題は長年にわたる食生活が影響しているともいえます。予防施策として栄養バランスを学びながら楽しく、基本的な食事を作れるようになれば、たとえ一人暮らしでも健康長寿で在宅生活を送れることができるようにしたいと考えます。

また料理は認知症予防にも効果が高いと言われています。認知症対策の一環としても期待できるのではないでしょうか。食の重要性や自立の必要性について意識を高める事業ともいえます。このように男性を対象とした料理教室の開催支援など、食に着目した介護予防についてお考えをお聞かせください。

 

③【介護基盤の整備について質問します】

介護が必要になっても、住み慣れた地域で生活が続けられるよう365日、24時間体制でさまざまな介護サービスを提供するのが「小規模多機能型居宅介護」であります。よく区民からは小規模多機能型居宅介護と聞いても、一体何をやっているところか分からない、という声も聞かれます。土地面積が小さく高密都市である本区では、施設整備という視点では、小規模多機能型居宅介護を基盤整備の中心になろうかと思いますが、現状と課題、設置目標について、また区民への一層の理解浸透についてもお考えを伺います。

 

一方、本人や家族が要介護者となり介護度の進展が進むにつれ「在宅か」「施設か」との究極の選択を迫られているのが現実であります。区内8か所の特別養護老人ホームは、9月末時点で待機者実人数1000名を超え、内Aランク待機者も300名を数えます。いずれも待機者がふくらみ、何年待っても入れない、諦めと今後の不安が交錯する毎日を送られている方が圧倒的ではないでしょうか。

待機者の不安が少しでも解消されるよう、今後の関係部局の検討への取り組みや、広域特養の整備時期をいつまでに実施されようとしているのか、また地域密着型小規模特養整備の方向性など、少しでも具体的にお示しいただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

④【地域包括支援センターについて質問します】

専門職種が連携し、高齢者の介護予防や、介護、医療、福祉に関する総合相談を一カ所で行う地域包括支援センター、本区では来年1月より通称「高齢者総合相談センター」として、それぞれが専門性を発揮され、地域の高齢者にとって、より分かりやすいワンストップサービスとなるよう期待がもたれます。しかしながら「現行の業務量が多過ぎはしないか」という懸念もぬぐいきれません。

地域包括支援センターにおける介護予防プラン作成は、直接作成としても1か所あたり月平均約90件、プラン作成は、根気のいる地道な作業とも聞いております。このほかセンターには、あらゆる相談が寄せられ、さまざまな対応が迫られます。1センターあたり相談業務は、月平均約900件を超え、前年度比3割増しであります。 

もともと地域包括支援センターに期待された業務は、これら「高齢者の総合相談窓口」に加え「高齢者虐待の相談・調整」「地域のネットワークづくり」が含まれます。これら機能も大変に重要な業務であります。

これからは分かりやすい名称で存在認知が上がるでしょうし、今以上に内務的業務が増えることが予想されます。職員の増員を促すべき検討課題と考えますが、ご見解を伺います。

 

地域のネットワークづくりでは、本区の特性でもある単身者、高齢者のみ世帯に対し、現状課題をしっかりと行政が責任を持って把握すべきであります。実態調査の手法など具体案がありましたら、お示しください。

 

そのうえで、あらゆる地域資源等を活用し、連携しながら地域包括の主眼ともいえる地域ネットワークづくりに展開され、高齢者への見守り支援拡大につなげるべきと考えます。ご見解を伺います。

 

⑤【高齢者虐待対策について伺います】

先ごろ高齢社会の深刻な実態を浮き彫りにするような発表がありました。厚生労働省が先月20日に発表した、高齢者が家族や介護職員から虐待された実態調査結果であります。08年度に家庭内や介護施設などで確認されたのは全国で1万4959件に上り、前年度に比べ約12%増加しました。ほとんどは家庭内虐待であり、死亡の24人も家庭内のものと憂慮すべき実態であります。

 この家庭内虐待のうち、被害者の7割が要介護高齢者、また45%が介護が必要な認知症であり、加害者の続き柄は約4割が息子とのことであります。厚生労働省は「認知症を患った高齢者の行動や言動へのいら立ち、介護疲れなども大きな要因ではないか」との見方を示しております。

これらは自治体が事実確認した事例の集計であり、氷山の一角かもしれません。国民の誰もが直面する課題である「介護」に関して、今や「老老介護」や「シングル介護」が社会問題となっています。また高齢者虐待に関する認知度は決して高くなく、自分が虐待をしているという自覚がない養護者も少なくないとも聞きます。

虐待の早期発見・早期対処のためには、近隣住民の協力が必要不可欠であり、これからも高齢者虐待防止に関する啓発活動に力を入れる必要があります。

これまでの本区独自の虐待対応マニュアルの作成や、早期発見・見守りネットワーク、介入支援ネットワークなどの体制整備、本区における現状認識と今後の取り組みついてお聞かせいただきたいと思います。

 

⑥【介護者支援について質問します】

日本高齢者虐待防止センターの専門電話相談員によると、「多くの虐待事例の要因に経済的問題がある」と指摘しています。また、介護離職と虐待の関係性について、「虐待につながりやすい環境条件になっているのは事実」と述べられ、高齢者虐待を防止するには、家族介護者への経済支援が欠かせないとしています。

また同センター理事長は次のように述べられています。『多くの虐待事例の原因として共通しているのは、経済的負担です。例えば、英国の「アテンダンス・アローワンス」(家族介護者手当)のように、家族介護者を労働者と見なして、介護報酬を支払うような仕組みを検討する必要がある』とのことです。また『虐待防止のためには、高齢者とともに養護者や介護従事者への支援策をセットで講じていく必要がある』とも述べられております。

少子高齢化社会の中では、元気な高齢者が介護や援護を必要とする高齢者を助けるということ、例えば元気なうちは働きながら報酬も得て自立の人生を送る、こういう姿も現実的かもしれません。

また「自分はどんな状態で死を迎えるか」、この一点について高齢者の方の不安の声が聞かれます。国も基礎自治体も「認知症ケア」と「看取りケア」を政策としてどうのようにしていくのか、「自分はこうなりながら寿命を迎える」と笑顔で語っていただける、そういう地域社会を目指したいものであります。

虐待という見えない手が出てしまう、家族愛があるのに悲劇が生まれる、こんな豊島区であってはなりません。増え続ける男性の家族介護者、虐待加害者の約4割が息子という現実から、男性ならではの悩みの傾向など深刻な課題が浮き彫りになっています。また介護をめぐる事件では加害者のうち定職を持たない男性介護者が6割を占め、介護を機に離職して収入を失い、経済的に追い詰められる介護者の姿も浮かび上がっている現実があります。

本区では介護ライブラリー事業を開始され、その動向を見守りながらも、もう一歩踏み込んだ介護者へのレスパイト対策(休息のための対策)が求められます。新宿区の「介護者リフレッシュ支援事業」、板橋区の「認知症高齢者等外出支援サービス」や「家族介護リフレッシュ券事業」など、いずれも介護者の、現実に自由になれる時間・休息を取ってもらおう、というものであります。現行の介護保険制度では家族介護が評価されておらず、家族介護者の生活支援が重要と思われますが、その認識と対応についてご見解を伺います。

 

⑦【福祉部門と住宅部門の連携について伺います】

少子高齢化時代を迎えた今、「住まい」に関する「不安」が非常に広まっています。今いる地域で住み続けることができるよう、居宅での必要な介護・看護サービスの提供を保証する高齢者住宅が求められています。

これまでの介護サービスが付加された「施設」「在宅」に加え、いわゆる「ケア付きすまい」を高齢期の新たな選択肢として議論されてきております。現行制度のケア付きすまいには、高齢者向け優良賃貸住宅や適合高齢者専用賃貸住宅等があります。これらは面積要件があり、地価が高い東京の実態を十分反映したものとはなっていないため、結果的に利用者負担が高額になる傾向にあります。

このような中、本年5月改正高齢者居住安定確保法が成立しました。これまで単独所管であった住宅政策と福祉政策が連携して進められる意義はとても大きいものと認識いたします。

現在東京都では、東京モデルと称して3本柱の「ケア付きすまい」等の設置に向け、検討すべき具体的な方向性として挙げています。

そのような中、墨田区は木造住宅密集地域に、支援付き住宅が今年5月にオープンしました。同住宅は、老朽化して借り手がなくなった木造アパートを家主が建て替え、日常生活の支援を必要とする「単身で低所得の高齢者」に対し、安心して住み続けられる住まいを提供するもので、NPO法人が借り上げを行い管理・運営しております。

元気な人も、高齢になれば生活支援が必要になる。そうなった時に、その地域で“支援が付く”という仕組みが重要な意味を持つものであります。「単身、要介護、低所得の高齢者」を地域で支え、民間資源の活用などで地域での居住を実現するには、「支援付き住宅」の普及に向け、基本的な制度として求められるのは、福祉政策と住宅政策の連携であります。

そこで伺います。支援付き住宅は、民間活力次第では本区においても有効な施策になりえると考えますが、お考えをお聞かせください。

また私がこれまで受けた区民からの相談を振り返っても、福祉関係と住宅関連がどちらも密接していることも経験しております。今後の福祉部門と住宅部門の連携についてご所見を伺いたいと存じます。

 

2.次に教育施策について2点質問いたします。

①【初めに今後の環境教育の取組について伺います】

持続可能な社会構築のため、循環型社会実現への取組は、あらゆる分野で推進することが急務であることは周知のことと思います。学校教育においても環境問題やエネルギー問題について正しい理解を深めさせ、責任ある環境保全行動がとれるように育成することは、極めて重要な課題であると考えます。

平成18年3月にはESD(持続可能な開発のための教育)における国内行動実施計画が策定されました。ESDとは、将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在世代のニーズを満たすような社会づくりのために貢献できる子どもを育成する教育といわれております。

学校内及び地域を活動の場とした体験学習等によるCO2削減を中心とした環境保全のための学びを通じて、2050年に向けた低炭素社会づくりを担う人材育成を目指すとともに、学校活動全体におけるCO2等の環境負荷の削減を推進するための、エコスクールを視野に入れた環境教育について、本区における現状と課題、今後の取組についてお示しください。

また昨年、私の一般質問でも取り上げました、クールアーススクール事業について、現状の進捗状況と今後の方向性についてあわせてお伺いいたします。

②【次に薬物乱用防止対策について質問します】

最近、有名芸能人などの薬物事件が相次ぎ、大きな報道の中、青少年への影響が本当に心配される時代となっております。薬物対策の強化、特に青少年を取り巻く状況下では喫緊の重要な課題となっております。

薬物汚染は、低年齢化という危険ゾーンに陥っています。10代から30代を対象にしたアンケート結果を見たところ、薬物使用経験者は約7%、身近で使用している人がいるとの回答が約17%と、驚くべき数値となっています。また、大麻検挙者の6割以上を30歳未満の青少年が占めており、薬物が我が国の若者たちの未来をむしばみつつある現実を深刻に受け止めなければなりません。

 その背景の一つとして、インターネットの普及を指摘する声があります。薬物に関する入手ルートなどの情報がネット上に氾濫し、警察庁によると「若者たちは、ほとんど罪意識のないまま、興味本位で安易に手を出している」というではありませんか。

 「薬物はだめ、絶対に手を出さない」との強い意思を社会全体で持ち合い、青少年が一時的な好奇心で手を染める風潮そのものを変え、撲滅への機運を高めることの継続性が何より重要であります。

薬物から「青少年の命と未来を守る」という視点から、本区における薬物乱用防止について、現状の認識とその防止対策について伺いたいと存じます。

本区でも講師としてお招きした夜回り先生として有名な水谷修先生によれば、若者からの相談ごとは午前2時ごろに寄せられる場合が多いと言われています。深夜の孤独の中で、何らかのきっかけで薬物使用などの誘惑に駆られるその時に、すぐに相談できるような体制を整えることができれば、薬物に手を染めることが防げるかもしれません。

「薬物は所持も使用も犯罪である」ということを現場教育の中で教え込む、という予防教育が重要であると考えます。薬物汚染の低年齢化をまず学校現場で防ぐためにも、薬物乱用防止教室は学校単位の任意選択ではなく、全校実施するとともに、内容の充実にも配慮していただきたいと思います。ご見解をよろしくお願いいたします。

3.最後にその他として

①【地域における社会的活動の支援について伺います】

少子高齢化、医療、環境問題など社会的課題をボランティアという側面での手法ではなく、ビジネスで解決することを目的として、収益事業に取り組む事業体を社会的企業と呼びます。雇用機会の拡大や地域の活性化、新たな働き方の提示等の大きな潜在力を持ち、今後育成されるべき分野と考えられます。

社会的企業は、事業を通じて社会的課題を解決するという点で、従来のボランティア、あるいは従来の営利事業とは異なる側面を持ちます。また、社会的課題の解決を事業化することで、社会的効果と価値を継続的に持続させることができると考えられております。

 近年、企業社会では、企業の社会的責任(CSR)が注目され、営利企業が社会的視点から事業プロセスを改良するなど、社会性を高める取り組みが活発であります。一方、経営基盤を強化するため、従来備えていた社会性に加えて、事業性を高めたいと考えるNPOが数多くあります。

このように、企業が社会性を、NPOが事業性を高めることによって、企業、NPOの双方が社会性と事業性を両立させる方向へとシフトさせています。これは営利・非営利の枠組みにとらわれない新しい事業体としての社会的企業に関心が高まっている背景でもあり、社会的課題を解決する新たな担い手として、社会的企業に対する社会からの期待があると考えられます。

区政を取り巻く諸課題、とりわけ子育て・高齢者支援、介護問題、障がい者の就労や教育、環境問題など、自治体独自・単独だけでは全てを抱えきれない施策について、広く社会的企業の一端として担ってもらうような取組を模索すべきと考えます。

本区は子育て支援事業対象外である病児保育等サービスを提供するNPO法人に対し、豊島区として「後援」という位置づけをされました。そこで質問いたします。この事例は社会的企業を支援するという仕組みとして理解しますが、区のご見解をお聞かせください。

 

また区政課題の担い手のひとつとして、社会的企業の認知度を高めるための普及、啓発支援についてご所見をお願いして最後の質問といたします。

以上で私の一般質問全部を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。

 

西山質問に対する高野区長・教育長答弁

 

1.高齢者支援について

高野区長答弁

(1)地域の介護力発掘への取り組みについて
ただいまの、西山陽介議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

高齢者支援についてのご質問のうち、まず地域の介護力発掘への取り組みについてのご質問にお答えいたします。

本区が、本年3月に策定した「豊島区地域保健福祉計画」の中におきましては、生活リスクが高いひとり暮らし高齢者の比率が全国の2倍と非常に高いうえに、虐待や孤独死などの様々な生活課題が表面化してきている状況に対し、区民相互や地域団体などの共助の仕組みとして、「新たな支え合い」システムの構築により対応する旨を表明したところであります。

ご質問にありますとおり、ひとり暮らし高齢者等が、住み慣れたまちで生活し続けるためには、「新たな支え合い」による近隣の日常的な関係やネットワークなど、地域の介護力を発掘し、向上させることが何よりも重要と考えております。

このため区といたしましては、確実な情報提供など引き続き各種団体等を支援するとともに、介護予防や認知症への理解の浸透やこうした活動の中核となる「地域支え合いサポーター」や「認知症サポーター」の育成を強化すること等により、地域の介護力の発掘、向上を図ってまいりたいと考えております。

また、本年4月より、社会福祉協議会においてコミュニティソーシャルワーカー(C.S.W)のモデル事業を開始し、地域住民や関係機関のネットワークづくりに積極的に取り組んでおります。

こうした「新たな支え合い」のシステムづくりにつきましては、まだまだ種をまきはじめたばかりでございますが、今後、高齢者福祉の柱となる大樹に育つよう努めてまいります。

(2)食に着目した介護予防について

次に、食に着目した介護予防についてのご質問にお答えいたします。

区におきましては現在、食を通して行う介護予防事業として、特定高齢者を対象に、栄養士が訪問し、食事の内容や調理法の助言、指導を行う「訪問型低栄養改善プログラム」や、ひとり暮らし高齢者を対象に、健康体操などを実施した後、小学生と交流しながら会食する「おたっしゃ給食」を実施しております。

さらに、今年度新たに、ひとり暮らし高齢者を対象に、食事をしながら相互に交流する、女子栄養大学の「松柏軒」での会食事業をモデル実施しておりますが、30名の定員に対し約2倍程度の申し込みがあるなど、大変好評を博しているところであります。

区といたしましては、この交流事業をさらに拡充し、月2回のペースで実施してまいる考えであります。

ご提案のお話の男性を対象とした料理教室の開催につきましては、

必要性や費用対効果など、様々な要素を総合的に勘案したうえで判断してその対応をしてまいりたいと考えております。

(3)介護基盤の整備について
①小規模多機能型居宅介護の現状と課題、設置目標及び区民への理解浸透について
次に、介護基盤の整備についてのご質問のうち、小規模多機能型居宅介護の現状と課題、設置目標及び区民への理解浸透についてのご質問にお答えいたします。

小規模多機能型居宅介護は、通いのデイサービスを中心に、本人の様態や希望に応じて、宿泊や訪問といったサービスを同じスタッフが一体的・継続的に提供することにより、自宅で継続して生活するために必要な支援を受けられる極めて有効なサービスであり、本区としても積極的に普及させていきたいと考えております。

区内には既に上池袋三丁目において、平成19年9月にオープンした事業所があり、現在2か所目を池袋三丁目の区有地において認知症高齢者グループホームと併設で平成22年3月の開設を目指して建設中であります。

また、千川二丁目においても、区有地を活用した整備を計画中であり、現在地元と協議中であります。

課題といたしましては、事業を行う場所の確保が容易でないこと、介護報酬単価が都心部でこの事業を行うには低い設定であることなどがあり、計画どおりに整備が進まないことであります。

設置目標といたしましては、小規模多機能型居宅介護施設は、夜間の訪問などのサービスを提供する性質上、利用者のエリアが限定されるため、少なくとも各日常生活圏域ごとに2か所は必要と考えておりますので、平成21年度から23年度までの第4期介護保険事業計画におきましては、4か所の整備を行う計画となっております。

また、区民への一層の理解浸透につきましては、これまでも広報としま等で周知してまいりましたが、今後も様々な広報媒体を活用し、機会あるごとに周知を図っていくとともに、計画策定時における区民意識・ニーズ調査には、事業内容を紹介するなどの工夫を凝らしてまいりたいと考えております。

②今後の取り組み、広域特養の整備時期及び地域密着型小規模特養整備の方向性について

次に、今後の取り組み、広域特養の整備時期及び地域密着型小規模特養の方向性についてのご質問にお答えいたします。

特養ホームの整備につきましては、適地の確保が非常に難しく計画が進んでおりませんが、関係部署とも協議を重ね、さらに計画の具体化を図るべく、庁内組織を立ち上げて対応してまいります。

また、特養ホームの整備時期につきましては、できる限り早期に整備したいと考えておりますが、今の時点で整備時期を明確にお答えすることは難しい状況にあります。

地域密着型小規模特別養護老人ホームは、第4期介護保険事業計画におきまして1か所整備することになっております。

小規模特養ホームにつきましては、本体の大規模な特養ホームから15分程度の距離にサテライト型として整備することが、職員体制や採算面などから効率的であるとされておりますので、既存の特養ホームが多く配置されている西部圏域におきまして、区有地を活用しての整備を検討してまいりたいと考えております。

(4)地域包括支援センターについて

①内務的業務量の増大による職員の増員について
次に、地域包括支援センターについてのご質問まずのうち、、内務的業務量の増大による職員の増員についてのご質問にお答えいたします。

地域包括支援センターは、高齢者人口の増加や認知度の高まりに伴い、ご指摘のとおり、着実に相談件数が増えております。

このため、区におきましては、今年度、全センターに対し、これまでの委託料に新たに事務費、非常勤職員1名分の人件費を上乗せするなど、委託料の大幅な増額を行ったところであります。

来年度につきましては、ひとり暮らし高齢者の見守り体制を強化することにより、センターの業務量が増えることが想定されますので、センターの職員の増員に向け、現在、委託料の増額について鋭意検討を進めているところであります。

②実態調査など、現状課題把握の具体案について

次に、実態調査など、現状課題把握の具体案についてのご質問にお答えいたします。

ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯など、孤独死のリスクの高い世帯への日常的な見守り体制の整備は、本区にとって極めて重要な課題と認識しております。

このため、来年度、区内の65歳以上のひとり暮らし高齢者及び高齢者のみ世帯を対象とした実態調査を実施することといたしました。

具体的には、来年4月から11月を調査期間とし、65歳以上75歳未満の対象世帯に対しましては、区が郵送による調査を行う一方、75歳以上の対象世帯に対しましては、民生委員が訪問調査を行う考えであります。

調査は、健康状態や介護されているかどうかの状況、外出の頻度など、14の調査項目に基づき調査を実施し、民生委員や地域包括支援センター職員の見守り活動に活用してまいりたいと考えております。

③地域ネットワークづくりへの展開による高齢者の見守り支援拡大について

次に、地域ネットワークづくりの展開による高齢者の見守り支援拡大についてのご質問にお答えいたします。

来年度予定しております、ひとり暮らし高齢者世帯等を対象とした実態調査により、より多くのこうした世帯の情報が把握できるようになる結果、民生委員や地域包括支援センターの職員が関係機関へつなぐ件数は、大幅に増えるのではないかと考えております。

このため、今後は、より一層地域全体のネットワークによる支え合い機能が重要になると考えております。

したがいまして、今後は、高齢者の見守り支援の拡大を図るべく、地域包括支援センターを中心に、民生委員やコミュニティソーシャルワーカーなどの活動主体との連携により、情報を共有し、ネットワークづくりを進めるための実務者レベルの会議体を設置し、対応してまいる考えであります。

(5)高齢者虐待対策の現状認識と今後の取り組みについて

 

次に、高齢者虐待対策の現状認識と今後の取り組みについてのご質問についてお答えいたします。

区といたしましては、一刻も早くより多くの虐待ケースを把握し、対応するとともに、様々な機会を通じて虐待防止のPRに努める必要があると考えております。

このため、虐待対応マニュアルを基に、区職員をはじめ地域包括支援センターの職員などを対象とした研修を行い、虐待対応能力の向上に努めております。

また、専門性が必要な極めて困難なケースに対応するため、弁護士、精神科医、警察等と、「介入支援ネットワーク」を構築し、これらの方々の協力を得て、「高齢者虐待対応決定会議」や各種の虐待専門相談を行っているところであります。

今後は、地域包括支援センターや民生委員を中心とする地域のネットワークの中で、虐待ケースの情報を共有し、早期発見と対応に結びつけるとともに、あらゆる機会を通じて虐待防止の普及啓発を進め、地域全体に虐待防止の気運が広がるよう努力してまいります。

(6)家族介護者の生活支援について

次に、家族介護者の生活支援についてのご質問にお答えいたします。

介護する方々は、高齢者の増加に伴い、ますます増えていくと見込まれていることから、ご指摘のとおり、今後より一層こうした方々への支援を強化する必要があると考えております。

このため区におきましては、今年度から、区と地域包括支援センター並びに医師会が連携し、「認知症介護者等支援事業」を立ち上げたほか、社会福祉協議会におきましても、日帰りのバス旅行による「在宅介護者リフレッシュ事業」を開始したところであります。

ご質問にあります新宿区や板橋区の事業につきましては、新宿区が2200万円、板橋区が3600万円など、多額の経費を必要としております。

区といたしましては、財政状況を踏まえつつ、今後、介護する方々を支援するメニューを増やすべく努力してまいりたいと考えております。

(7)福祉部門と住宅部門の連携について
①支援付き住宅について
次に、福祉部門と住宅部門の連携についてのご質問のうち、 まず、支援付き住宅についてのご質問にお答えいたします。

本区におきましても急速に高齢化が進む中、在宅介護が困難な単身高齢者や老老介護などが大きな問題となっており、折しも、「静養ホームたまゆら」での火災事故は、在宅介護が困難な低所得者の高齢者の生活の場が不足している深刻な実態を浮き彫りにいたしました。

こうした状況から、都が本年6月に立ち上げたプロジェクトチームの報告書の中におきましては、国に対し、東京モデルとして地価の高い大都市の特性を踏まえた高齢者住宅や福祉施設等の基準の見直しなどの提案を行っております。

このモデルである「ケア付きすまい」は、在宅か施設かという二者択一に捉われることなく、要介護者自らのライフスタイルに適したすまいを選択することにより、安心・安全が確保された地域で住み続けることが可能となるものです。

こうしたことから、適切な負担で、必要な場合は日常生活を支援するサービスの利用が可能である「適合高齢者専用賃貸住宅」等の整備につきまして、今後民間活力を積極的に活用し、誘致を図ってまいりたいと考えております。

②今後の福祉部門と住宅部門の連携について

次に、今後の福祉部門と住宅部門の連携についてのご質問にお答えいたします。

先程申し上げた「ケア付きすまい」につきましては、そのスキームからして当然のことながら、福祉部門と住宅部門の連携を図る必要があると考えております。

こうした観点から都におきましては、福祉部門と住宅部門が連携した横串のプロジェクトチームを設置し、「東京モデル」として国に提案しております。

高齢化が加速する本区におきましては、今後、国や東京都の動向を踏まえ、福祉部門の領域にとどまることなく住宅部門ともこれまで以上に連携を図り、介護・生活支援サービス拠点をすまいに併設する施策を推進していく所存であります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、区民部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

 

3.地域における社会的活動の支援について

(1)子育て支援事業に対する区の後援と社会的企業の展開について

地域における社会的活動の支援についてのご質問のうち、まず、子育て支援事業に対する区の後援と社会的企業の展開についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、本区では、この10月より区内で新たに子育て支援事業を開始したNPO法人の活動に対し、後援を行っております。

この法人との協働は、病児保育やお泊まり保育など、現在区が行っていない事業を団体の自主的な活動により補完している点で大きな意義があるものと考えており、区としても、区民への広報やご紹介などの支援を行っているところです。

現在、法人の子育て支援事業は、国や自治体からの補助金や委託費を財源としており、厳密な意味ではご指摘の社会的企業の活動には該当しないと考えます。しかし、法人からは、

子育て支援に分野を限定せず、社会的課題に対応する継続的事業展開を視野に入れていると伺っており、将来的には社会的企業としての活動についても可能性があるものと認識しております。

(2)社会的企業の認知度を高めるための普及、啓発支援について

 

次に、社会的企業の認知度を高めるための普及、啓発支援についてのご質問にお答えいたします。

公共サービスへのニーズが多様化していく中で、公平性、平等性が求められる行政では対応が難しい地域課題を解決していくためには、ご指摘のとおり、地域の活性化や雇用の創出など様々な期待が寄せられている社会的企業を支援し、協働のパートナーとして育成していくことが、本区をさらに暮らしやすい街としていくために、大変重要であると認識しております。

社会的企業の普及、啓発のために、本区は既に、関連の事業を展開しております。

まず、本年10月30日から11月1日にかけて、立教大学、帝京平成大学、そして区内外の多くの活動団体の協力により「協働シンポジウム」を開催いたしました。このシンポジウムでは、「コミュニティビジネス」をメインテーマとして、多くの事例と最新の情報を2日間にわたって紹介し、300名近くの方々にご参加をいただきました。

コミュニティビジネスとは、身近な地域の課題について、区民が主体となって、ビジネスの手法によって解決するもので、より広域的な課題を扱うソーシャルビジネスも、収益を活動資金として継続的に公益的な事業を展開していく点では同じであり、ご質問にありました社会的企業と同様と考えております。

これから社会的企業を育んでいくためには、まず、社会貢献を行いたいと考えている区民の方々や団体、そして意義ある活動を支援したいと考えている企業を対象として、社会的企業の認知度を上げていくことが必要であると考えております。

そのため、今後は、社会的企業の支援、育成を既に取り組んでいる「協働推進プロジェクト事業」、この事業の柱の一つに据え、ビジネスモデルの構築や資金調達等のノウハウについての講座、あるいはセミナーの開催、また先進的な活動紹介などについて、取り組んでまいります。これらの取り組みが、社会的企業の認知度の向上、ひいては普及、啓発に繋がっていくものと考えております。

また、もう一つの取り組んでいる事業といたしましては、毎年2月に、としまNPO推進協議会が中心となって、区民活動センター運営協議会や本区と共に「社会貢献活動見本市」を行っております。

これは、ご指摘いただいたCSR活動を行う企業のほか、地域で活躍するNPO、ボランティア団体が、パネル展示により活動の発表を行うもので、今年の第3回見本市は、43団体、約500名が参加するなど、大変な盛況ぶりでした。

この見本市につきましても、社会的企業の設立を考えている区民や団体と、支援を考えている企業が出会う場、あるいはマッチングさせる場として発展させ、社会的企業の認知度向上を図ってまいりたいと考えております。

2.教育施策について

三田教育長答弁

(1)今後の環境教育の取組について

①環境教育の現状と課題、今後の取組について
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

教育施策についてのご質問のうち、まず、今後の環境教育の取組についてのご質問にお答えいたします。

環境教育の現状と課題、今後の取組についてですが、本区では、本年、4月、5月に行われました「学校の森」植樹祭を契機に、高密都市豊島における環境教育を全校で推進してまいりました。小学校では、6月の「CO2削減としまアクションウィーク」において、1800名の児童が、5日間で一人当たり約3キログラムのCO2削減に取り組みました。また、中学校では、環境に関する講話を全校で実施し、環境教育の重要性を家庭・地域とともに再認識いたしました。

また、児童・生徒が、地球温暖化やヒートアイランド現象などを身近な環境問題としてとらえ、主体的に行動できるよう、校庭の芝生化、屋上緑化、太陽光発電、エコスクール等について、積極的に整備いたしているところでございます。

②クールアーススクール事業について

 

次に、クールアーススクール事業についてですが、本事業につきましては、環境省の担当部局にも問い合わせておりますが、当初想定されていた「地域支援実証事業」「クールアーススクール登録事業」等は、具体的な動きがない状況でございます。しかしながら、クールアーススクールの理念は、「学校教育のあらゆる場面において、CO2削減を中心とした環境保全のための学びおよび実践」であり、本区においては、先ほど述べた都市型環境教育の取組みを着実に進めているところでございます。また、クールアーススクールE-Learningシステムにつきましては、学校の意見を参考にしつつ、区のホームページに「環境学習ツール」のコーナーを設けており、今後も児童・生徒が一層使いやすく、関心がもてるよう、内容等を工夫してまいります。

(2)薬物防止対策について

 

①薬物乱用防止の現状の認識と防止対策について

次に、薬物防止対策についてのご質問のうち、まず、薬物乱用防止の現状の認識と防止対策についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、青少年の薬物乱用や薬物依存につきましては、乱用の若年化が懸念され、青少年の心身に与える健康被害のみならず、家庭崩壊や、犯罪、非行につながる深刻な社会問題であると認識しております。

若年層への薬物乱用を防止するためには、地域が一体となって、「薬物の恐ろしさ」や正しい知識の普及啓発を図るなど、継続的な乱用防止の取り組みが重要です。

こうした薬物乱用防止対策につきましては、全庁的な取り組みが不可欠であり、現在、池袋保健所や警察、地域活動団体等が連携し、リーフレットの配布やキャンペーンなどの啓発活動が進められております。

学校教育におきましても、保健体育等の授業において重点的に指導するとともに、警視庁の薬物乱用防止キャラバンカーなどを活用して、薬物乱用防止教育を推進しております。

②薬物乱用防止教室の全校実施及び充実について

次に、薬物乱用防止教室の全校実施及び充実についてのご質問にお答えいたします。

本区におきましては、昨年度、薬物乱用防止教室を小学校では23校中14校、中学校では8校中7校が実施しております。本年度は、薬物に関する専門家を招くなどして、年度中に全小・中学校で実施するよう積極的に防止教室の取り組みを進めてまいります。

また、薬物乱用防止教室以外の取り組みも行っており、西池袋中学校では、文化祭において、薬物乱用防止についてのプレゼンテーションや寸劇など、子どもたちの発達段階に応じた取り組みも進んでおります。

今後とも、薬物乱用の根絶に向けて指導の徹底を図ってまいります。

以上をもちまして、西山陽介議員のご質問に対する

答弁を終わります。