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平成18年度会計決算に対する公明党意見開陳-10/23此島議員発言

 私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成18年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の4特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

 さて18年度決算は、区長が評価された通り、平成16年度では「薄氷を踏むがごとき決算」、17年度では「堅実な財政運営に向かっていることが明確に現れた決算」、そして今回の18年度は「財政健全化に明確な区切りをつけることができた決算」と、次第に明るさを増し、財政健全化に対する確信が高まった決算と言え、ここに至るまでの、高野区長を初めとする行政執行部と職員の皆様のこれまでのご労苦に敬意を表するものであります。

  私ども公明党は、予算編成当時は在籍しなかった新人議員2人を交え、18年度決算の審査にあたり、今後の人口減少社会や少子高齢、低成長時代を迎える中で、自立した分権社会を担う行政の果たすべき役割を踏まえ、1、区民の目線に立った行政運営となっているか。2、時代の変化に適応した事業展開となっているか。3、事業の改善、見直しなど、行政の質の向上に取り組まれているか。などを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
理事者の皆様には資料要求をはじめ、事前調査に快く応じていただきましたことに心から感謝し、御礼申し上げます。

   さて18年度は、この年からスタートした新基本計画に基づき、福祉と教育を基本としつつ、文化、健康、都市再生、環境など、86事業の具体的な実現にむけて取り組まれました。 さらに、これからの変化が激しい時代に対応した行政経営システムを構築し、新た な二ーズに対応出来る行政体力を回復するため、行財政改革プラン2004に続き、2005を推進し、限られた財源を効果的・効率的に活用するため、“選択と集中”“スクラップ・アンド・ビルド”の考え方を基本としながら、“見直す部分”と“新たな部分”を合わせもつ内容となりました。

 このような改革の努力と区民の協力により、実質単年度収支が3年連続黒字となり、区財政は確実に、かつての危機的な状況を脱し、健全化に向かうこととなりました。 とは言え、今後の財政運営につきましては、減少傾向にある長期債務の返済もまだ暫く続く中で、高齢化と経済の低成長社会がもたらす生活保護の増加や医療、介護の給付に伴う繰出金は、ますます増額していくことは間違いありません。また、老朽化した施設の維持管理経費は勿論のこと、特に急がれる学校を始めとする公共施設の再構築には多額の財源を必要とするなど、多くの課題を抱えております。ゆえに、財政健全化への道のりは道半ばであり、絶えざる行財政改革に取り組みながら、的確に区民需要に応えるという困難に挑戦していかなければなりません。その点を、区民にも充分理解をしていただく努力が必要であると思います。

 以下、款別に要望も交え意見を申し述べます。

まず議会費・総務費ですが
・  職員の人事につきましては、担当部署により、代えがたい貴重な能力を持ち得た職員がおります。ゆえに、仮に非常勤という立場にあっても、区民サービスの向上を考え、年数を重ねながら培った専門分野や経験を生かせるように配慮されたいと思います。また、今の時代は職員の柔軟な創造力を生かせる組織・管理者が望まれます。「人は石垣・人は城」と言われるように、人が生かせる組織運営をしているところが常に、さまざまな取り組みに勝っていける強い組織になると考えます。さらに、職員のさまざまな研修が行われておりますが、特に、区民サービスの基礎基本となる接遇研修には力を入れていただきたく、要望いたします。

・   行政のスリム化・行政コストの削減という観点で、民間活力との協働により、民間委託や民営化、また指定管理者制度の活用などが25の施設で行われて参りました。その財政効果額は、外郭団体の経営合理化を含めると3億8千万円と(行政経営課では)みており評価いたしますが、その運営については、どうなのか、区民の声はどうなのか、よく検証し、チェック機能の強化と配慮を望みます。

また、この度の秀山荘に見られるような事業者の撤退という状況等生じた場合、区民サービスに支障を来たすことのないように、また財政効果が損なわれないようにお願いをいたします。

・広告掲載料や区有施設における歳入確保は、高く評価するところであります。公共施設の再構築におきましても、この観点を視野にいれながら取り組んでいただきたいと思います。

・本区の治安対策の取り組みは高く評価いたしますが、今後、より多くの区民が参加できる防犯体制のしくみを作り上げていただきたいと思います。

福祉費・衛生費ですが

・子育て支援策として、子ども医療費の助成を18年度10月から小学校6年生まで拡充していただきました。現在は中学3年生まで無料としていただきましたが、子育て世代にとって何よりもありがたい事業と喜ばれ、感謝されております。 また、保育園の民営化をはじめ、さまざまな保育事業に取り組まれ、多様な保育ニーズに応えていただきました。

・子ども権利条例のパンフレットもやっと印刷されたところでありますが、小学生には分かり易い形でのご案内を工夫されることを要望しておきます。

・   75歳からの介護予防につきましては、区民ひろばでの開催など、より身近に参加できるようお願いいたします。

・   としま健康づくり大学は、「豊島の健康21」を実現し、ひいては予防医学の観点から医療費の削減にも資するものであります。区民が生活習慣病の予防事業に、幅広く取り組まれるよう、お願いいたします。

・また、としま健康づくり大学の講師として活躍いただいた、元オリンピック選手の木原美知子氏に心から感謝し、哀悼の意を表します。

文化商工費

・        あうるすぽっとにつきましては、文化の力をもって、街を活性化していけるような企画運営が必要と考えます。「区民にとっては、主に鑑賞するための施設」とのご案内がありましたが、鑑賞するホールは池袋にも数多くあることから、区民に歓迎される企画・運営となるよう切望いたします。

・        商店街の装飾灯につきましては、助成金が10年前に比べ激減してきた所に、会員メンバーの減少で、その負担が大きくのしかかっております。これは、商店街のためだけでなく、地域を照らす街灯ゆえに助成の復活に努力されたいことを要望いたします。

清掃・環境につきましては、

 家庭ゴミの有料化にむけての答申を受けて、モデル事業の実施をされましたが、さまざまな課題の検討により、区民から理解される協議をお願いいたします。

また廃プラスチック、サーマルリサイクルの本格導入を控え、不適性な搬出・不法投棄を予防するため、ゴミ集積場へのゴミだしマナーの啓発活動の強化に努力されたいと思います。

 都市整備・土木・教育費については

東長崎駅や大塚駅におきましては、バリアフリー法から、えき街一体改善事業などさまざまな補助の合わせ技とも言える事業により、例えば東長崎においては区の負担が何と3000万円という、感動するような財源で完成する運びとなり、地元住民にとっても価値あるまちづくりを推進していただきました。あとはその名の通り、街の活性化へとつなげたいものです。

学校教育におかれましては、小学校英語教育の充実・普通教室の冷房化や環境整備・特別支援教育の推進・安全安心対策事業など 魅力ある学校づくりや生きる力を育む教育の推進に努力されました。

新中央図書館は、私どもの要望を取り入れていただき、児童書コーナーの設置も大変喜ばれております。また学校図書館の図書購入費におきましては、23区の中でも22番目と低いことから、その整備に努力されたく要望いたします。

「人を育てる」という最も崇高な教育の世界で、今多くの課題を抱えておりますが、今後も、としまの教育ビジョンの実現に向けて、ご努力をお願いいたします。

最後に、特別会計の介護保険につきましては、低所得者への支援策は当然取り組まねばならない課題でありますが、同時に保険料の公正な支給、すなわち、不正事業者の排除には、ご努力をお願いいたします。課長自ら、現場に通い続けた努力は、“まるさの女”ならぬ行動でありますが、今後はさらなる調査員の拡充を望みます。

以上、款別に意見を申し上げましたが、特に申し上げたいことは、今後ますます多様化すると思われる区民の需要に対応するためにも、部局間の連携をさらに強化していただきたいということであります。問題に直面した区民にとっては、その多くが、はじめての出来事であり、どこに相談を持ちかけても受け止めてもらえる体制が完備されていることが重要であります。

 また、区の現状や施政方針、事業の目的、効果といったものを、より多くの区民に理解してもらう努力、工夫を重ねていただきたいということです。

 例えば、冒頭にも述べましたが、危機的な財政状況から、抜け出したとはいえ、未だ巨額の債務を抱えながら、社会保障費や医療費もしっかりと確保しなければならず、老朽化した公共施設の改修にも取組まなければなりません。

 さらに言えば、本区がかつて掲げた、財政健全化計画における歳出抑制部門においては、この4年間での達成率が49,7%に過ぎず、46億円もの歳出超過となっているのです。これだけをとらえれば、財政が厳しい中で無計画な歳出を行ったと見られますが、実態としては、実施計画に基づいて経費削減に取組む一方で、新規・拡充事業を4ヵ年で、累計218事業、事業費ベースで73億円も計上していることが要因となっております。言い換えれば、財政が厳しい中で、計画を変更しても区民サービスに応えようとした本区の取り組み姿勢を伺うことが出来るのであります。こうした「事実」を背景に、どのように区民に理解を求めていくかが、今後の大きな課題となると実感いたします。

 急速に進む少子高齢化、長期にわたる経済の低成長という時代にあって、国も地方も厳しい行財政経営を迫られております。様々な改革を「改悪」と叫ぶのは、簡単なことであります。今を、そして将来を生きていくことができる社会にするために、「改革」は絶対的に必要であります。その上で、その改革によって影響を受ける人たちに対し、具体的な救済策を施していかなければならないと思います。極めて困難ではありますが、避けては通れないことであります。そして、こうした困難を乗り越えていくためにも、行政対区民という枠組みではなく、行政も区民も、ともに同じ方向に向かってスクラムを組むという体制を築いていくことが強く求められるのではないでしょうか。この協働の体制を創り上げるための取り組みもまた困難な作業でありますが、実現に向け総力を結集されることを期待し、私どもも最大限の協力をさせていただくことをお誓いし、意見開陳といたします。

平成19年10月23日発言