s-nakaji2 s-P7160006

平成18年 決算特別委員会公明党意見開陳

2006年10月20日

此島澄子委員

私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成17年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の4特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

平成17年度決算に当たって、私ども公明党は、今後の人口減少社会や少子高齢、低成長時代を迎える中で、自立した分権社会を担う行政の果たすべき役割を踏まえ、1、区民の目線に立った行政運営となっているか。2、時代の変化に適用した事業展開となっているか。3、事業の改善、見直しなど、行政の質の向上に取り組んでいるか。4、我が会派の要望に応えられているかなどを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
決算審査に当たり、理事者の皆様には資料要求を初め、事前調査に快く応じていただきましたことに心から感謝し、御礼申し上げます。
総括的な評価としましては、平成17年度決算は財政健全化計画に続き、行財政改革プラン2004による改革を断行した成果が現われ、区財政は危機的な状況を脱することができました。これは経済の回復と行財政改革の効果によるものであり、区民と行政が痛みを分かち合いながら努力した賜物であると評価しております。
国の経済見通しは緩やかな回復を続けているとしておりますが、本区においてはまだまだ楽観は許されません。長期債務を伴う特別区債残高は土地開発公社を含めると約704億円となっており、金利の高さも気になりますが、今後の施設再構築も大きな課題です。
2年連続黒字となり、財政状況が好転し始めたといっても、将来世代に負わせる負担状況を示す世代間負担比率は相変わらず23区で最下位であります。よって、負の遺産も含め、本区の資産すべてを明確に把握し、それを区民に明示し続けることが重要であります。したがって、会計制度の見直しを図り、複式簿記、発生主義会計システムを導入、構築すべきであることを提案いたしました。
また、都区制度改革における積み残し課題である主要5課題についても、特別区側にとっては不本意な結果に終わり、調整率の引き上げも19年度財政調整協議に先送りとなりました。
課題解決に向けて、議会との連携が問われるとともに、23区一丸となって取り組めるよう、さらに区長が先頭に立って対応していただきたいことを要望いたします。
平成17年度は自治基本条例を制定し、今後10年間の基本計画とその実施計画を根底に、豊島区の今後を方向付けるスタートの年でありました。そして重点施策は、文化、都市再生、健康の3つのテーマを基調として展開されました。さらに民間活力との協働の推進により、19の施設の指定管理者制度の導入や秀山荘、猪苗代青少年センター、介護施設などの民営化により、財政効果も見られました。今後より一層の安全に心掛け、チェック機能の強化と配慮を望みます。
さらに区民との協働の推進について申し上げます。これを進めるには、まず職員の意識改革が必要であり、それを基に全庁を挙げて協働作業を推進する必要があるため、専門的に取り組む課の設置と具体的な手引きとなるガイドラインを早急に手掛けるよう要望いたしました。
区の事業をより効果的に行う方法として、この区民との協働が必要になります。区民ひろばも動き始め、最前線では、このガイドラインができるのを待っております。直ちに着手されるよう要望いたします。
平成17年度予算執行の取組みは第二次財政健全化への初年度となるものであり、本区においては初めての一部枠配分予算方式をとることとなりました。この方式は、各部にとって柔軟性があり、財政課の事前承認なしに予算を執行できたこともあり、前年度に比べて流用件数が2.3倍となっており、さらに新規事業や拡充事業として予算化されながら、ほかの事業に転化してしまったものも確認され、議会議決の原則において、今後軽々な判断がされないよう留意すべきことを指摘しておきたいと思います。
具体的な施策評価について申し上げます。まず、重点施策の文化、都市再生、健康ですが、文化については財団豊島区コミュニティ振興公社とまちづくり公社を統合し、新財団が設立されました。また、文化都市宣言が行われ、文化芸術による創造のまちづくりを初め、6つの新規事業も行われました。豊島区に文化の土台が築かれた年と言ってもいいと思います。未来文化財団の社長である高野区長が、文化、文化とPRしたおかげで、一般会計1%ちょっとの予算でこれだけ文化事業が浸透した豊島区になれた効果は大きいと思います。文化よりパンをという人もおりますが、人間食べ物だけあれば生きられるというものでもなく、生きがいがあってこそ、人間として豊かな人生とも言えるのではないでしょうか。これからも少ない予算で区民が豊かな文化を謳歌できますようお願いいたします。
都市再生では、池袋副都心の再生や魅力と活力ある地域づくり、安全で快適な生活空間の整備など、9つの新規事業を初め、3拡充事業と街並みが次第に美しく、そして、バリアが解消して、活気づいてくるのがわかります。また、健康施策では、介護予防大作戦を初め、福祉基盤整備が図られました。委員会の中で様々な質疑をさせていただきましたが、特筆すべきことを順不同ではありますが、以下項目的に述べさせていただきます。

まず、総務費、議会費では、今後民営化が進み、派遣労働者の増加や指定管理者制度、市場化テスト導入によって、勤務する職員がこれまでの経験を生かせるよう、効果的な研修制度の確立を望みます。緊急の災害時に機能する地域防災組織の育成について、今後は若者を初め、障害者、外国人など、全ての区民に防災意識を持たせる工夫を行うべきであり、防災訓練も呼びかけ方法や実施時間帯に考慮しながら推進していただきたい。また、災害要援護者を守るべく、個人情報保護法の適用の仕方には現実的、効果的な対応を望みます。
福祉費については、限られた財源を効果的に執行するため、本当に必要とする人がサービスを受けられるよう、より区民の需要頻度に適合した使い方をしていただきたいことを要望いたしました。新バリアフリー法の制定に伴い、障害者の移動の権利も明示されました。移動困難者に対する移動サービスとして本区の社会福祉協議会のハンディキャブ事業のさらなる充実を図っていただきたいと思います。
介護保険法改正による軽度者の特殊寝台につきましては、9月30日で寝台が撤去されようとしていたところに、東京都は3日前の27日に新たな事業を立ち上げて通達してまいりました。そのことにつきましては区民の立場を考えても、行政の立場を考えても、現場を混乱させる異常の事態でした。以後、このようなことが二度と起こらないよう東京都に強く抗議すべきであることを申し上げました。
また、全国的に急増する高齢者の虐待に対し、早期発見及び通報しやすいシステムを構築し、ほかの自治体のように24時間電話相談や高齢者虐待対応専門員の設置、シルバー110番の創設など、具体的に対応していただけますよう要望いたします。
経済生活費については、区民の安心できる生活を推進するため、消費生活相談事業については、即対応できる体制整備を望みます。相談員の研修や人員については、可能な限りの予算確保に努めていただきたいと思います。中小企業の経営、操業支援は、区の財政基盤にも影響を与えるものであります。17年度は未執行事業が散見されましたが、策定した新規事業については計画的に実施していただきたいことを強調しておきます。
また、中小商工業融資事業は、13種類を6種類にまとめ、利子補助あっせん融資を絞り込みましたが、今後も区民の需要と効果を絶えず酌み取りながら、見直しも含め検討されたいことを付け加えておきます。
都市整備費については、住替え家賃助成事業については、都の補助金廃止とともに見直され、特に大きな影響を受ける平成12年度以前の対象者にとっては深刻な問題となっております。そこで何らかの措置、対応をすべきだと考えております。
教育につきましては、隣接校選択制については、新校に偏る実態があり、学校の適正配置が地域のコミュニティ形成にも影響するという論議がなされました。今後多くの学校の建替えが予想される中、明豊中学校の建設経費は21億円という思ったより安価でできたことに加え、区の実質的負担額は6億円のみであったことは驚きである。今後大いに参考すべきであると申し上げたい。豊島スクールスタッフ派遣については、家庭・学校教育の不足を補えるような事業であり、地域やほかの分野に属する人から学べるような事業へと展開していただきたいことを要望いたします。
最後の特別会計について申し上げます。介護保険会計において、収入未済のほとんどを占めるスマイルサポートに関しては、行政の責任が問われます。既に時間の経過がありますが、この悪質状況を立証できるよう、この際、徹底して戦っていただきたいと思います。悪と戦うべきときに戦わないというのは、また、次の悪を生む原因をつくることになります。介護保険の悪質業者が社会問題になっておりますが、今後このような福祉を食い物にする悪質業者によって、負う必要のない負担や迷惑が区民にかからないよう、チェック機能を強化すべきであります。介護保険料の値上げについても、なぜ今回はこれだけ値上げしなければならないのかという説明責任が問われます。今、このチェック機能にお金をかけることを惜しめば、将来どれだけ豊島区民の保険料に影響するかを考え、賢明な対応を要望いたします。

子どもの権利条例について申し上げます。議会には、議会議決の原則というものがあります。子どもの権利条例につきましても、平成18年第1回定例本会議で可決され、3月29日に公布されました。そこで行政としては、18年度予算に計上されたとおり、1日も早い解説書の発行に向け、努力すべきところであります。この委員会の中でできたばかりの条例を廃案になどと耳を疑うような発言がありましたが、なぜ、そのような発想が生じるのか、信じられません。私どもはこの条例によって一人でも多くの子どもが強く生きられることを願っております。
豊臣秀吉の五大老の1人、小早川隆景の言葉に、「迷うときに何を物差しにして決断するかといえば、それは人に対する愛情である」とあります。一国一城の主、指導者としての心構えを述べられた言葉でございます。高野区長におかれましては、どのような圧力も跳ね返し、区民のために勇気ある前進をされますようご期待申し上げます。
いつも決算特別委員会といいますと、最中に何かしかの事件がありました。前回は暴力団の発砲事件があり、今回は北朝鮮の核実験です。これ以上の事態が悪化しないことを望んでおります。
以上をもちまして、17年度決算に賛成する公明党の意見開陳を終わります。ご清聴大変ありがとうございました。